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My Dark Side9

「ブレイン、、、そんなのもうずっと前からだよ。僕は君だけを愛してる」 クシャクシャに歪んだ顔でカートが笑う。 「僕は君だけを愛してる。知らなかった?」 僕は何を怖がってたんだろう? 「ブレインだけ」 君は僕が思う以上に、僕を愛してくれてた? 重すぎるこの愛も、歪んだ独占欲も、君は受け止めてくれるの? 「僕を信じて」 君はいつからそんな強い目をするようになってたんだろう。 僕は君を守りたかった。 でも、本当の君は僕なんかに守られている程弱く無い。 そっと霧が晴れていく。 「カート、、、ありがとう」 「ブレイン、声が戻ってる!」 さっきまで感じていた悪寒も、頭の中を吹き荒れる嵐も収まっている。 「ブレイン、傷が!」 「え?!どういう事?!」 確かに撃たれたはずの肩や脇腹は傷ひとつない。 それどころか血溜まりも綺麗さっぱり消えている。 「お前たち、私に感謝するんだな」 混乱していると、突然リチャード先生が現れた。 「私の見せた幻影で能力の暴走が回避出来ただろ」 どこから?!いつから?! リチャード先生はまるで悪戯を大成功させた子供の様に得意気だ。 そして、僕は見てしまった。 僕の将来の夫になる人の、、、 鬼の形相を。 呆気に取られている僕の隣で、静かに怒り狂っている彼の恐ろしさをこの日の僕はまだ知らない。

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