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18歳の冬9
翌日。今日はついにブレインのお母さんに挨拶する日だ。
僕らは朝イチの飛行機で移動し、ブレインのお母さんが居るニューヨークに来た。
「どんな人なの?君のお母さん」
「どうかな?個性的な人だよ」
「緊張してきた」
「まあ、夜まで時間はあるんだし!まずは君の好きなミュージカル鑑賞をしてからだ」
リバイバル版「ファニー・ガール」。今日僕らが鑑賞するミュージカル。
「よくこんなクリスマスシーズンにファニー•ガールのチケットなんて手に入ったね!ネットは完売してたでしょ?」
ミュージカルのチケットはいつもブレインが取ってくれている。
「ああ、その、、、ニューヨークには兄さん達も居るから色々とツテがあるんだ」
ブレインは4人兄弟の末っ子らしい。
僕が会ったサムの他に2人お兄さんがいる。
全員、父親が違う異父兄弟。
お兄さん達とは、それぞれ微妙な関係みたい。あんまり話したがらない。
「そうなんだ」
マンハッタン島の西側にあるホテルに荷物を置いて劇場に向かう。
憧れのブロードウェイミュージカル。
凄く楽しみ。
ファニー·ガールは不屈のファニー・ブライスの自叙伝的な舞台。
ブロードウェイでの生活を夢見たローワーイーストサイドの少女の物語だ。
誰もが彼女にスターになることは決してないと言ったが、 その後、歴史上最も愛されているパフォーマーの一人になった。
「どうしよう、ブレイン、凄くドキドキしてる」
「あはは、可愛い。始まる前から心臓発作を起こさないように僕が手を握っててあげる」
ブレインと手を繋いでクリスマスのニューヨークを歩く。
夢みたい。
劇場に着くと僕はもう舞台に夢中で、この後、ブレインのお母さんにご挨拶へ行く事もすっかり忘れて楽しんだ。
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