89 / 112
20歳の暗い夏3
「遅かったな」
長官室に行くとミストことリチャード先生が居た。
「来ると思ってたよ」
それに翼を持つネオヒューマンズのフェニックス。
そしてもう1人エージェントが居た。
「ブレイン、紹介するよ。エージェント•メイ、ミストとフェニックスは知ってるな。彼はスティール。鋼の身体だ。全員、レベル5のエージェントだ」
「だから何なんです?」
「カート•アンダーソンの救出チームだよ」
「救出?」
「ああ、彼はどうやら何か危険な事に巻き込まれた様だ。実地訓練で向かったグセフ共和国で」
「グセフ共和国?」
「東欧よ。バルト海に面した小国。カートは先月、実地訓練でそのグセフ共和国に居たの。
王室派と首相率いる政府派の小競り合いが起きている国での任務よ」
メイが説明してくれた。
「どんな任務だったんですか?」
「王位継承第二位にいるレオナルド•グセフの護衛と国外脱出の任務だった」
「レオナルド•グセフは脱出出来たんですか?」
「いや、死んだよ」
「カートは何に巻き込まれているんですか?」
カートはグセフ共和国からは脱出している。という事は今アメリカ国内でも何か起きているって事?
「これから、チームを組んで調べる所だ。君も参加してくれ。今動けるエージェントで最強のチームを組みたい」
確かに、今ここに居るメンバーは講師や上級、、、レベル5のエージェントだ。
自分1人で調べるにも戦うにも限界がありそう。
「分かりました、カートの事宜しくお願いします」
「大丈夫、俺たちがついてる」
フェニックスが肩をポンっと軽く叩いて励ましてくれた。
正直、僕は虚勢を張っていた。
カートに婚約破棄されただけでも地の底まで落ち込んでいたし、敵がどこの誰なのか、何がどうなっているのか、どうすれば今の状況を解決出来るかなんて所詮学生の僕には分からなかった。
居ても立っても居られなくて本部に乗り込んだけど、勢いだけで来た僕には何のプランも無かった。
「本当に、、、ありがとうございます」
ともだちにシェアしよう!