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20歳の暗い夏7

「コードタルパって何の事です?」 リチャード先生は神経質そうな顔でコーヒーを啜っていた。 「ああ、エージェント•ライナーからの報告書を読んだのか」 「はい、そこにコードタルパの可能性と書かれていました。何の事です?」 「タルパは、神智学・神秘主義・超常現象における概念であり、霊的・精神的な力によって作成された存在や物体を指す用語だ」 「で?それがコードタルパとどう関係するんですか?」 「つまりは、分かりやすく言うとWIAでコードtulpaと言えばsupernaturalだ」 「全然分かりません」 「supernatural?超自然現象、生き物の総称だ」 「それは分かります。つまり?」 「今回の敵は幽霊、ヴァンパイヤ、ライカン、セイレーン、妖精にドワーフ、シェイプシフター、トリックスター、それからホラなんだ、、、フランケンシュタインは映画か?まあ、そういうヤツらって事だ」 「幽霊?!ヴァンパイヤ?!存在するんですか?」 「お前、知らないのか?あ、まだ2年生だったな。来年はそいつらの講義もあるぞ」 「信じられない」 「ネオヒューマンズは遺伝子異常から産まれた新しい人類。タルパは太古から存在する様々な生き物ってとこだ。 カサドールのハンター共も元々はタルパ狩りをしていた。奴らにとって我々ネオヒューマンズもタルパと同じで狩りの対象って事だな」 「じゃあ、今回の敵は、、、」 「超オカルト。お前の能力がタルパに効くのかは知らないが、相手は人間じゃない」 カート、君は今、何に巻き込まれてる? 嫌な汗が背中を流れる。 僕に、何が出来る? 僕は人間しか操った事がない。 敵の正体は一体何なんだ? 混乱していると資料室のドアが勢いよく開いた。 「何人かエージェントを寄越してくれ」 フェニックスだ。 「どうした?」 「カートが大学から脱走した」

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