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20歳の暗い夏2-4

ブレイン。大好き。 窓から温かい日差しが差し込む教室。高校かな。 窓辺でブレインが優しく微笑んでる。 嬉しくってブレインに飛びつこうとして、誰かに足を掴まれている事に気づいた。 両足首に絡みつく青白い手を見て絶望する。 見つかった、、、 どつしよう!! ブレインが危ない!! 「ブレイン!!」 はぁはぁ 「おい、大丈夫か?」  変な夢見ちゃった。 「アーティ。ごめん急に」  そうだ。僕は昨日、アーティに拾われた。 「まだ寝てて良いぞ」 アーティはベッドの反対側に座っていた。 「ありがとう、でも目覚めちゃった」 「そうか、熱は?」 「もう大丈夫。多分昨日は疲れてたから」 「じゃあ、腹減ってる?」 「うん」 「ブルーベリーチーズパンケーキは?」 「好き!美味しそう」 「ok、じゃあ一階に降りるぞ」 「うん」 僕はアーティと一緒に一階の店に降りた。 初めて入った店はそう大きくは無いけれど、L字のバーカウンター、それからハイテーブル5つ、一番奥にはアップライトピアノが鎮座するミニステージがある。 バーカウンターの中がキッチンだ。 「カウンター席へどうぞ」 「ありがとう。アーティがパンケーキ作るの?」 筋肉隆々で、両腕にびっしりタトゥーが入ったワイルドなおじさんが甘いパンケーキを、、、 「まあ、楽しみにしてな」 しかも自信満々。 でもすぐにバターの芳ばしい匂い、パンケーキの甘い香りが漂ってきた。 「ホラ、食ってみな」 出されたパンケーキは、今まで食べたパンケーキで一番美味しそう。 「いただきます!」 アーティは隣に座ると、自分の分のパンケーキを頬張る。 「美味し〜」 「だろ?」 「アーティ、ありがとう」 人の優しさが身に染みる。 「それより行く宛はあるのか?」 「、、、」 「ウチは今、ウェイター募集中だ。働く気は?」 「これ以上、アーティに甘えられない」 「子供は大人に甘えて良いって知らないのか?」 「僕、これでも20歳だよ」 「俺から見たらまだ子供だよ。危なっかしくて見てられない」 「でも、、、」 「じゃあ、バイト代からウチの下宿代もとる。余った分やチップは全部お前の給料でどうだ?」 「僕なんかでいいの?僕のこと知らないでしょ?僕が強盗とか犯罪者かもしれないよ?」 「俺は人を見る目だけはあるんだよ」 僕は住む場所と仕事を見つけた。

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