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20歳の暗い夏2-6

温かい。 もう慣れた匂い。 「おはよう、アーティ。起きる時間じゃない?」 「ん?もうそんな時間か?」 アーティとは同じベッドで眠るし、朝になると上半身裸で寝るアーティの胸に抱きしめられて起きる事も良くある。 「今日、買い出し行くんでしょ?」 「ああ、そうだった」 アーティは僕を懐に抱きしめたまま、まだ眠そうに答える。 「もう少し寝たいなぁ」 ぎゅって抱きしめたまま頭を撫でられた。 どうやら僕は抱き枕か、犬猫扱いらしい。 ブレイン以外とこんなに触れ合う機会がなかったから最初はドキドキしたけど僕もすっかり慣れてしまった。 「僕、お腹空いたー」 「何が食べたい?」 「ブルーベリーチーズパンケーキ」 「またかよ」 そう言いながら僕のリクエストを何でも作ってくれる。 「いいじゃん、食べたい」 「はいはい」 やっと僕を解放すると欠伸しながら起き上がる。 「下行くぞ」 「うん」  同じベッドで抱き合って眠るのが普通じゃ無い事は、お互い分かってる。 恋人でもない。 親子でもない。 兄弟でもない。 唯の他人。 アーティも僕も、自分の事はあまり話さない。 知ってしまえば今の関係に歪みが生じてしまうと、どこかで感じているのかもしれない。 僕達に共通しているのは、きっと孤独。 失った何かを埋めるのに、お互いの存在が都合が良かった。 甘やかしたいアーティ、甘えたい僕。 需要と供給のバランス。 いつまでもこのままじゃ居られないのは分かってる。 僕はブレインを失って、今はただ、羽を休める場所が欲しかった。

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