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20歳の暗い夏2-7
「やあ、また来たよ」
昨日ナンパしてきた金髪の男、確かディーン。
「いらっしゃいませ」
「いいね、その塩対応!可愛い!今日は弟も一緒だ」
「どうも」
弟さんは、ディーンよりも更に背が高い、爽やかな可愛い感じの人。
「僕はサム。兄貴がごめんね、大丈夫?」
「大丈夫だよ」
「今日はカウンターにいい?」
「どうぞ」
2人がカウンターに着く。
「名前、コードだっけ?この町の人?」
人当たりの良い弟のサムに声をかけられた。
「違うよ、僕は最近来たばっかり」
「そっか、ここの住民の事、詳しい人いる?話聞きたいんだけど」
「アーティなら詳しいんじゃない?アーティ!聞きたい事あるみたい」
キッチン奥に居たアーティを呼ぶ。
「何だ?」
「2人が聞きたい事あるって」
「最近、急に態度や行動が変わった人はいませんか?」
「?どういう意味だ?」
「いつも来る常連客が急に来なくなった、とか、、、子供が突然不登校になった、奥さんが急にパートを辞めた、酒豪の同僚が酒嫌いになった、親友が急にあんまり笑わなくなったとか!そういう噂話、知りませんか?些細な話で良いんです」
「そんな事聞いてどうすんだ?」
「あ、僕が医学部の学生で行動心理学のレポートを書いてる途中で、その臨床データ収集です」
「そーそー、俺の弟は頭良いうえに勉強熱心なんだ」
「ん〜急に行動が変わった奴なんか居たかな?
あ、そういや、アイツ見てないな」
「誰ですか?」
「獣医師のホーガン。毎晩、ウチのJAZZ聞いて帰るのが趣味な男」
「どれくらい見てませんか?」
「10日ぐらいか?」
ディーンとサムが目配せで合図をした。
「ありがとうございます」
「行動心理学ってこんなネタでいいのか?」
「十分です」
2人はビールを一杯ずつ注文するとコソコソと話し始めた。
何なんだろう?あの2人。
何かを調べてる?普通の人じゃないのかも?
WIAやカサドールみたいな組織の人間には見えない。
2人を気にしつつ働いていると、店の外から急に怒鳴り声が聞こえてきた。
「うるせー、テメーふざけんじゃねーぞ」
1人はさっきまでホールでお酒を飲んでいた大柄で少しガラの悪いオジサン。さっき帰って行ったと思ったら店の外にまだ居たらしい。
もう1人は若い男で、こちらも血気盛んそうな人だ。ピアスが沢山空いていて、モヒカン。ロックな格好をした人。
2人は店の外で揉め始めた。
「あー勘弁してくれよ」
アーティはカウンターから出て、2人を宥めに向かった。
けど、酔っ払い2人の喧嘩はエスカレートし始めて殴り合いが始まる。
「店の前は辞めてくれ、警察呼ぶぞ!」
僕は心配になって様子を見に外に出た瞬間だった。
「サツなんて呼んだらテメーをブチ抜く」
若いモヒカン男がバックルに隠していた銃を、アーティに向けた。
「アーティ!!」
僕の身体が、無意識に動いた。
姿勢を引く、銃を向ける男に突進する。
銃口を左手で支えて、右手側から手首を押し銃を一瞬で奪う。
そのまま男の腕を引き寄せて、無防備な重心がかかった左足を膝から払って転倒させる。
身体を捻り、腹這いに倒れた男の上に乗ると後頭部に銃を突き付けた。
「アーティを傷付けたら許さない」
その場にいた全員が一瞬の出来事に固まっていた。
「コード、、、お前、、、なんなんだ」
アーティのそんな顔初めて見た。
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