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20歳の暗い夏3-1

「奴らが動いた」 待ちに待った、エージェント•メイからの連絡だ。 「アイツも?」 「居る。20人程引き連れて向かうみたいよ」 「分かった。また詳細が分かったら知らせて」 通信を切る。 資料室の奥にあるリチャード先生の部屋に、リチャード先生とフェニックスも居る。 「いよいよだな。奴らが動けば、カートの居場所もわかる。あと少しの辛抱だ。必ず助け出そう」 フェニックスが肩を叩く。 ついに、カートが見つかるかもしれない。 3ヶ月も探し続けて、やっと。 この3ヶ月、気が狂いそうだった。 婚約破棄されただけでも地の底まで落ち込んでいたのに、カートは僕の前から消えてしまった。 大学には退学届を出し、誰にも何も告げずに突然、失踪した。 エージェント•メイとスティールはグセフ共和国での現地調査、僕やリチャード先生、フェニックスは残ってカートの捜索をしていた。 メイとスティールはグセフ共和国の現地調査でシェイプシフターの存在を確認し詳しく調べていた。 そして、カートがなぜ僕の前から消えたのかが徐々に分かって来た。 メイ達の報告で、グセフ共和国でシェイプシフターが大繁殖している事。 シェイプシフターの起源と言われている繁殖種のヴォジャノーイがカートを狙っている事。 WIAにもシェイプシフターが潜んでいる事。 色々と分かった。 僕の愛する人を勝手に番に選んだヴォジャノーイは執拗にカートを狙っているらしい。 僕のカートにシェイプシフターの子供を産ませるつもりだったと聞いて怒りで頭に血が昇った。 誰にも渡さない。 カートは僕だけのもの。 僕のものだ。 カート、僕は君にも怒ってる。 君は君のものじゃ無い。君は僕のもの。 勝手に婚約破棄して僕の前から消えるなんて、もう二度と許さない。 事情は分かってる。 君は僕をシェイプシフターから守る為に、僕から離れた。 僕に何も言えなかったのは、WIAにも大学にも既にシェイプシフターが潜んで居たから。 君は僕の為に姿を消した。 でも君が居ない世界で生きるなんて、僕は死んでいる様なものだ。 それどころか、君を探している間ずっと心を引き裂かれ地獄の苦しみだった。 君を失うぐらいならシェイプシフターに襲われた方がマシだったかもしれない。 必ず見つけ出す。 そして二度と君を離さない。 もしかしたら、僕はヴォジャノーイよりも危険かもしれない。 僕は君を愛し過ぎてる。

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