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20歳の暗い夏3-2
「大丈夫か?」
リチャード先生の部屋をフェニックスと2人で出た所で心配そうに声を掛けられた。
「大丈夫です」
「大丈夫って顔はしてないけど?やっとカートの居場所が掴めるかもしれないって時に何でそんな思い詰めた顔してるんだ?」
「、、、」
「俺は、こう見えてお前らよりも何倍も長く生きてるんだ。100歳を超えてからは自分の年齢は数えてない。人生の大先輩って奴からのアドバイスは必要ない?」
フェニックスは、見た目は若い黒人男性だけど不死鳥の名前の通り長寿だ。
「僕はカートを見つけて良いのか、迷っているんです」
「婚約者なんだろ?何でそう思う?」
「僕は彼の人生から自由を奪ってしまいそうな気がしていて、、、いや、もう既にそうなのかも。このまま、カートを僕から解放してあげた方が良い気がして、、、」
カートを見つけてしまったら、今度こそ僕は二度と手放せない。能力を使ってでも縛り付ける。
愛し過ぎているんだ。
「カートは可愛い顔して頑固者だぞ。縛ろうが何しようが縛り付けるのは無理無理。自由になりたければ自分の意思で羽ばたける奴だから大丈夫だよ」
確かに、カートは強い。
カートの真っ直ぐ芯の通った心はいつも僕の闇を照らしてくれる。
「カートは自らの意思で人生を選べる。無理に君から離れたりする必要は無いよ。大丈夫だ」
「ありがとう」
フェニックスはカートとはまた違う穏やかさ、明るさやユーモアを持った人だ。
この3か月は一緒にカートの捜索をしたり、WIAや大学に既に潜んでいたシェイプシフターを探しては捕らえてきた。
スピードや戦闘力、回復力がずば抜けているフェニックス。
でもそれ以上に優れているのは、彼の内面だろう。
長く生き、沢山のものを見て来た人だ。
醜いものも美しいものも。
「あなたが居てくれて良かった」
カートが居ない絶望感や焦りを、フェニックスやリチャード先生は上手く宥めてくれていた。
2人には感謝しかない。
「仲間だろ。側に居るから心配するな。一緒にカートを探し出そう」
もうすぐ見つけられるだろうか?
カート、君は今、どこに居る?
何を考えてる?
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