108 / 112
20歳の暗い夏4-1
「とっ捕まえて来たぞ、カート」
ディーンが初老の男性を引きずって来た。後ろ手に縛り、口にはタオルを詰め込んでいる。
場所は町外れの古い空き家。
「シェイプシフター?」
「そうだ」
「早く殺して。ヴォジャノーイに見つかりたく無い」
「流石にヴォジャノーイも番のためにアメリカまでは来ないだろ」
ディーンは男を柱に縛り付ける。怪我をしているのか、シェイプシフターは抵抗しない。ただ、僕を睨む目だけはしっかりしている。
「なあ、こいつは日が暮れたら処分する。まだ時間があるんだ。良い事しようぜ?」
ディーンが腰の辺りをグッと引き寄せ来た。
「良い事?」
僕もディーンを抱き寄せる。
「そ、良い事」
そう言うとディーンが深いキスをする。
舌が口の中を這う。
「あっん、んん」
クチャっと唾液の音がした。
お尻の辺りをディーンの手が撫でる。
「ディーン、奥のベッドで」
「可愛い」
2人で奥の部屋にあるベッドルームに入ってドアを閉める。
「おいで」
ディーンが僕をベッドまで手を引く。
「もう少し我慢して」
僕は頷くとディーンとベッドに横たわる。
「布団被って誤魔化すから、こっちに」
小声でディーンが僕を引き寄せる。
「うん」
ディーンとベッドに横になって布団を被る。
額が触れるぐらい近くにディーンの顔がある。
「取り敢えず、このままサムからの連絡を待とう」
「分かった」
暫く2人で布団に潜っているとディーンの携帯が鳴った。
サムからの連絡だ。
「上手くいったか?ああ、わかった」
「大丈夫?」
「ああ、信じたみたいだ」
僕らはある作成を立てていた。
ヴォジャノーイをアメリカまで誘き出す作戦。
ディーンとサムが追っていたシェイプシフターを捕まえて、わざと緩いロープで縛る。
そして、僕がヴォジャノーイに狙われている事を匂わせた会話を目の前でする。
そしてディーンが僕の彼氏のふりをする。
捕まえたシェイプシフターはわざと逃げ出させて、ヴォジャノーイに僕の事を連絡させる。
ヴォジャノーイが僕を追ってアメリカまで来れば罠を仕掛けてディーンとサムが狩る。
ディーンが僕の彼氏のふりをしたのは、ブレインに被害が行かない様にするため。
ヴォジャノーイは僕がブレインと婚約していたのを知っているから殺されたりしない様に念には念を入れた作成だ。
サムは外で待機して、逃げ出したシェイプシフターを尾行する役。ヴォジャノーイに連絡をしたかも確認する。
さっきのサムからの電話では全て作戦通り上手く行っている。
ともだちにシェアしよう!