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20歳の暗い夏4-2
「本当に付き合おうよ」
ベッドから起き上がるとディーンが憎めない笑顔で言う。
「無理だよ。僕好きな人居るもん」
「ブレインだっけ?元婚約者」
「そう」
「俺じゃダメ?婚約破棄してるんだろ?」
「だめ」
ディーンは、一般的に見てイケメンなんだと思う。整った顔立ちだし、ヤンチャな少年みたいな所もキュートだし、筋肉質な体型で男らしい。
でも、さっきキスされてディーンの事を友達以上に見れないとハッキリ分かってしまった。
僕が恋しているのはブレインだけ。
「ごめんね、ディーン」
「分かった。しばらく彼氏役が出来るだけでも俺はラッキーだよ」
シェイプシフターはどこに潜んでいるか分からない。ディーンにはヴォジャノーイを誘き出して狩るまで僕の彼氏役をやってもらう約束だ。
「僕、そろそろアーティの所に戻らないと」
「車で店まで送るよ。今は彼氏だし」
「ありがとう。アーティの前ではコードって呼んでくれる?アーティをごたごたに巻き込みたく無いから」
ディーンとサムには僕の本名を教えた。
WIAの事はあまり詳しくは話せなかったけど、グセフ共和国での事やヴォジャノーイの事は出来る限り話した。
「いいよ。アーティには彼氏って紹介してくれんの?」
「うん、そのつもり」
「過保護なアーティに殺されそう」
ディーンが悪戯っ子みたいな顔で笑った。
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