158 / 409

第158話 成人の儀 其の二十四★       ──よもや……ここも許したとは言うまい──

「もうこんなに濡れているのか。いやらしい子だ」  敏感になった胸の頂きに、甘美な低音と熱い息が掛かる。面白いように香彩(かさい)の身体が、びくりと跳ねた。  無意識なのか逃げようとする腰に、紫雨(むらさめ)のもう片方の手が回り、 尾骶を軽く抑え付ける。  それだけで更にゆらりと揺れ動く腰に、香彩は顔を朱に染め上げた。腰が逃げるのも揺れるのも、特に意識をしてやっているわけではない。それが分かっているからこそ、恥ずかしくて堪らない。 「……っ」  だがそれと共に淫猥な興奮と『期待』とが、精神と肉体の昂りとなって、香彩の理性という領域を占めていく。  紫雨の長い手指で絡め取られた香彩の若茎は、既に先走りの蜜で濡れそぼっていた。それは紫雨の下衣に、まあるい染みを残しながらも、未だに糸を引いている。  紫雨はその滑りのある糸を指先に絡ませると、まずは軽く竿を扱いてみせた。 「──はあぁ……っ、あぁっ…!」  既に追い詰められたような高い艶声を、香彩は上げる。そして紫雨の肩の白衣を皺が寄る程に握る香彩に、紫雨は胸の媚芯を軽く口に含みながら、くつくつと笑った。 「軽く扱いただけだというのに、堪え性の無い」 「んんっ……!」  媚芯に響く声と熱い息。  そして陽物への刺激から逃れようと、香彩は無意識の内に身体を捩る。だがそれもやがて本当に逃げたいのか、扇情的に身体を(くね)らせて続きを強請っているのか、香彩自身分からなくなった。 「それに……俺の上でその様に淫らに腰を拗らせ振って……何と艶なことよ」 「……あぁ、違っ……」 「違うまいよ。……見事を俺を煽ってくれる」  香彩の尾骶を抑え付けていた紫雨の手の力が、ぐっと増した。紫雨に跨がり、膝立ちの状態だった香彩は、耐えられずに紫雨の腰の上に座り込む形になる。 「あ……」  紫雨の言葉の意味が分かって、香彩は更に顔を赤らめた。  紫雨の下衣を押し上げている熱くて硬い物が、ちょうど香彩の会陰の辺りに当たる。まるで悪戯をするように、紫雨がゆっくりと腰を上下に揺らせば、香彩はびくりと身体を震わせた。  同時に、ぬちゃりと音を立てて香彩の昂ぶりを責める。逃げられない前後の刺激に戦慄きながら、香彩は啼くのだ。 「……はぁっ、んぅ…っぁ……ああぁ……」  まさにそれは紫雨の成すがままの、焦れた愛撫の始まりだった。  軽く扱かれただけの香彩の薄桃色した熱楔は、滑りのある蜜にまみれて光沢を帯びていた。  無意識の期待に震え、先端から溢れさせる蜜を、紫雨は再び指先で掬い取る。滑る指先で雁首の括れに輪っかを作るように引っ掻けると、その先端を軽く弾いて見せた。 「──っあ、ぁぁぁ……ん、っ…」  香彩の甘い喘ぎ声が響く。  紫雨は幾度か楔の先端を弾きながらも、手の動きに合わせるように、舌先を硬くして胸の頂きを責める。  やがて敏感な先端の柔いところを指先で撫で上げたと思いきや、鈴口の割れ目を親指の腹で(なぞ)った。 「よもや……ここも許したとは言うまい?」

ともだちにシェアしよう!