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第159話 成人の儀 其の二十五★       ──先端責め──

「──っ…!」  びくりと身体を跳ねさせた香彩(かさい)は、明らかに先程とは違った震え方をした。紫雨(むらさめ)の肩の白衣を握る手に更に力が入り、深い皺が出来る。その手もまた、ふるりと震えていた。 「ほぉう?」  紫雨の声は更に低くなり、熱い息が胸の淫芯に当たる。  それは羞恥の震えだった。  知られてしまったという恥ずかしさに、香彩は只々身を震わせる。  誤魔化しようがなかった。  鈴口の割れ目を優しく指で擦られる度に、先端からは蜜が溢れ、何かを求めるかのようにその淫口は、はくはくと口を開き、ひくついている。 「……拓かれたか。紅麗辺りの妙な淫具でも使われて」 「ちがっ……、──ああっ!」  今までより一等、切ない艶声を香彩は上げた。  先走りの蜜を絡めた紫雨の人差し指が、淫口の上を弾くように、とんとんと指先で叩けば、淫口はそれを迎え入れるかのように口を開ける。  紫雨は淫口を押し拡げ穿つように指先を押し込むと、ぐうるりと掻き回し始めた。  竜紅人(りゅこうと)によって幾度も拓かれたその場所は、痛みを伴うこともなく、寧ろむず痒いような独特の悦楽を香彩に齎しながら、紫雨の指先を食い締める。   「では……こんな風に指で拓かれたか?」 「……んんあっ…あぁ、はっ……」  善がり声を上げながら香彩は、気怠げに頭を横に振った。 「ほぉう? 淫具でもない。指でもない。何よってここまで拓かれたのか、是非とも教えて欲しいものだ……かさい」  そう言いながらも、楽しそうにくつくつと笑う紫雨は、第一関節まで淫口に挿入した指を、ちゅく、ちゅくと音を立てて、ゆっくりと抜き差しし始める。堪らないとばかりに香彩は啼き、その妖艶な腰が揺れ動いた。  本来なら痛みを伴うその行為も、散々拓かれた所為か、すぐに独特の深い快楽を拾う。  更に溢れ出る先走りの蜜を、紫雨の指先が丁寧に絡め取った。淫口を責めながらも、雁首の裏を微かに張った笠の形にそって螺旋を描く様に(なぞ)る。そして指先を引っ掛けるようにして再び先端を弾かれる。 「っひあ、…ひぅ、…ん…、っふ、…っ、…ひあっ」  強く弾かれた後、小刻みに軽く弾かれて、痛いほどの快楽の衝撃が、淫口を咥え込む指から淫口の中へと伝わった。 「……かさい」  低く名前を呼ぶ紫雨の息が、胸の頂きに当たる。言えとばかりにぐるりと暈を舐められながら、徹底的に楔の先端を責められれば、香彩は嬌声と共に言葉を洩らした。

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