「……あ…っ、は……ぁ…」 　一度身体の芯に灯った熱は、なかなか消えてくれない。じくじくと肌の裏側を炙るように、いつまでも余韻が残る。 　紫雨(むらさめ)の指が、胎内(なか)からゆっくりと抜かれていく感触ですら、香彩(かさい)にとって堪らないものだった。 　じわりと再び灼かれそうになる深い法悦に、香彩は色付いた白い身体を、紫雨の胸の上で軽く拗(くね)らせ震わせる。早く指を抜いて欲しいと思う気持ちと、抜かれてぽっかりと指の形に開く寂しい気持ちが、心の中を複雑に支配する。 　後蕾から離れていく指に、追い縋る様に引く卑猥で透明な糸。胎内(なか)から溢れ出したそれは、香彩の白い内腿に一筋の線を描いて流れていく。 「胎内(なか)でこうも気を遣るとは。……彼奴め。実に腹立だしいが、上手に仕込まれたものだ」 　欲に掠れた官能的な低い声が紡ぐ鄙陋(ひろう)な言葉に、香彩はそんな風に言わないでほしいとばかりに、首を横に振った。 「ん？　彼奴ではないと？」 「違っ……そうじゃな……っ、あ…」 　香彩が顔を上げる。 　それを見計らったかのように、紫雨の熱くて骨張った手が、香彩の白桃のような瑞々しい臀(いざらい)に触れた。双臀を卑猥な手付きで撫で回され、一番肉付きの良いところを楽しむように揉み込まれて、織火のように燻り続けている官能に、新たな熱が灯る。 　そんな香彩の様子に、紫雨がくつりと喉奥で面白そうに笑った。 「ん？　分からないな。しっかりと俺に教えておいて貰おうか、かさい」 　一体誰に仕込まれたのか。 「……っ」 　香彩は恨みがましい目を紫雨に向け、睨もうとした。分かっていて敢えて言わそうとしている彼を、腹立だしく思う。だがそんな反抗的な目も、紫雨の征服欲と嗜虐心を擽るだけだということに、香彩自身気付いていなかった。 　臀に触れていた紫雨の指が、尾骶に辿り着く。そしてゆっくりと尾骶から後蕾、ふぐりから若茎の裏筋を、まるで一本の線を擦(なぞ)るように、じっくりと触れた。先走りの蜜と花蕾から溢れる蜜によってその場所は、しとどに濡れ、紫雨が指を滑らせる度に、ちゅくと淫靡な水音を立てる。 「……っ、あ……っ、ん」 　蜜によって濡れた紫雨の指先が、戯れのようにやわやわと香彩のふぐりを揉み込んだ。その感触を楽しんでいるのか、暫く掌の中で転がされる。力の抜けてしまった身体を何とか動かして、香彩は紫雨の手から逃げるように上へと上がる。だが彼の長い腕と指は、容易く香彩を捕まえて、再びその花蕾に触れるのだ。