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第167話 成人の儀 其の三十三★       ──広げられる窄まり──

「……仕込んだのは誰だ? かさい」  「あ…っ、んんっあ…っ、はぁ……」  焦らすように後蕾の襞をまあるく触れていた紫雨(むらさめ)の指が、ゆっくりと蜜壺の中に挿入(はい)ってくる。一度胎内(なか)で達したその場所は、今はもうぐずぐずに蕩けていた。そんな具合を確かめるように、二本の指で軽くぐるりと掻き回された後、彼の指は胎内(なか)の極々浅い場所まで引き抜かれる。  堪らないのが香彩(かさい)だった。  一度達した胎内(なか)は酷く敏感だ。腹側の弱いところを掠めた後、浅い部分を指先で、くにくにと媚肉の感触を楽しむように動かされて、切ない喘ぎ声を漏らす。 「……まさか言えないような相手に仕込まれたとは、言うまい?」 「違っ……ん、んんっ、は…あぁ……っ」  無意識の内に快楽から逃げようと、再び上へと上がり始める香彩の腰を紫雨が掴む。胎内に浅く埋め込んだ二本の指を、後蕾の窄まりまで引き上げた紫雨は、何を思ったのか、二本の指の間を広げてみせた。  横に、そして縦に。 「……やぁ…、っん、ひろげちゃ……あ、だ…めぇ……」  柔軟に広がる窄まりは指で拡げられて、ぽっかりと穴を開けるが、元の位置に戻ろうとして、ひくひくと、ひくつかせる。  そんな花蕾の些細な動きを指先で感じ、楽しんだ紫雨は、窄まりを拡げたまま指を軽く半回転させた。 「……あぁっ…!」  ぐちゅ、と花蕾が卑猥な水音を立てる。やがて胎内(なか)から溢れ出してくる蜜の気配に、香彩は身を震わせた。 「こんなにも広げているというのに、俺の指を食らおうと締め付けてくる。……違うというのなら、こんな悩ましげで淫らな孔に仕込んだ者の名を、お前の口から聞かせて貰いたいものだ……かさい」 「……っあぁ、あ……」  嘲るように蔑むように耳元に落とされたその囁きが、酷く甘いのだと香彩は思う。冷ややかな響きとは裏腹に、灼熱のような熱を奥底に潜めている薄い口唇。  その熱さが欲しい。   尾骶と花蕾に悩ましいほどの快楽を感じながら、少し身体を起こした香彩は、接吻(くちづけ)を求めて紫雨に顔を近付ける。  香彩が何をしたいのか理解した紫雨が、指先の動きを休めることなく、香彩の花蕾を優しく責めながら、ほんの少し頭を上げた。  接吻(くちづけ)を紫雨の口唇に落とす。  触れるだけのつもりだったそれは、紫雨がそっと舌を差し出したことにより、状況が変わる。  熱い舌が目の前にあった。  滑り気のある薄赤色をした紫雨の舌だ。  今まで散々接吻(くちづけ)を交わし、胸の頂きを責めていた舌だというのに、こんなにもじっくりと見たことがないと香彩は思った。 (……何て艶めいた、綺麗な舌なんだろう)  

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