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第174話 成人の儀 其の四十★       ──喉奥の熱──

   喉奥まで口いっぱいに頬張っても、その欲求は満たされることはなかった。  この喉の更に奥にある一点の、深い深い悦楽を思い出して、香彩(かさい)は更に深く竜紅人(りゅこうと)の雄を咥え込む。 「……んんっ、ん…、んっふっ…」  息苦しさの中にある喉奥の、ある一点を越えた先にある堪らない官能に、香彩はくぐもった喘ぎ声を出しながら、夢中になって剛直にむしゃぶり付いた。  竜紅人が荒い息を吐く。  そんなふたりを絶景の肴だと言わんばかりに、神澪酒を呷りながら紫雨(むらさめ)がくつりと笑うのだ。 「何とも……淫らなことだ。そんな風に育てた覚えはないんだがな……かさい」 「生憎と俺も……覚えがないな、かさい……っ!」  いつの間にか後蕾を責めていた竜紅人の指が抜かれ、香彩の後頭部に触れる。何をされるのか理解した香彩は、竜紅人の下衣をきゅっと掴みながらも嬉々として、喉奥を剛直で突かれる悦びを受け入れた。  苦しい。  だけど苦しい以上に狂おしい。  竜紅人の下生えが鼻に付く程に一突きされた直後、喉奥に勢い良く熱が叩き付けられた。香彩は喉を鳴らして彼の熱を、ごくりごくりと飲み込む。濃厚な神気の、竜紅人の雄の香りが鼻を抜けて、脳の内側にまで広がるようだった。  熱い。  熱くてとても甘くて。  身体が灼けてしまいそうだ。  やがてずるりと香彩の口腔から竜紅人の雄が姿を現す。てらてらと滑って光る竿。名残惜しいとばかりに、香彩の唇と竜紅人の剛直の先端の間に、淫靡で白濁とした糸を引いて垂れる。 「……っ、あ、はっ……んんっ、はっ……あ」  それが口の端から溢れることに構うことなく、香彩が荒く息をつきながらも、甘く喘ぐ。  一度熱を吐き出したはずの竜紅人の雄は、未だに雄々しくも反り返っていた。香彩は竜紅人の肉茎の僅かに残る熱すらも欲しいのだとばかりに、先端に吸い付く。  こくりと熱の残滓を飲み干しながらも、胎内を掻き回す紫雨の指に酔い痴れる。 「──そろそろ……か」  欲で掠れた官能的な低い声でそう告げたのは、紫雨だった。胎内(なか)から指を引き抜けば、とろりと蜜が溢れ、紫雨の指先と後蕾との間に卑猥な糸を引く。 「──……っ」  これみよがしにそれを香彩に見せ付ける紫雨は、二本の指と指の間に未だに引く糸を、舌を出して舐め取って見せた。  香彩の顔に朱が走る。 「……あ、そ…んなの……、っ……」   舐めないでほしいと、香彩は竜紅人の肉茎の先端に舌を絡ませてながら、紫雨に訴える。  くつりと喉奥で笑う紫雨の、独特の笑い声を聞いた気がした。  竜紅人の神気の香りに遣られていた香彩は、再び竜紅人の剛直からとろりと溢れる蜜に夢中になり、気付いていなかった。  紫雨が自身の帯を緩めたことに。

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