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蒼竜は泡沫夢幻の縛魔師を寵愛する 第177話 成人の儀 其の四十三★ ──希う思念── | 結城星乃の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
蒼竜は泡沫夢幻の縛魔師を寵愛する
第177話 成人の儀 其の四十三★...
作者:
結城星乃
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第177話 成人の儀 其の四十三★ ──希う思念──
竜紅人
(
りゅこうと
)
は一体何をするつもりなのか。 悦楽に侵される思考の片隅で、答えなどたったひとつしかないのだと、分かっていた。 それでも
香彩
(
かさい
)
は、後蕾から来る禁断の甘い快楽に力が抜けそうになりながらも、震える自らの両腕を支えに、縋り付いていた
紫雨
(
むらさめ
)
の胸から身を起こす。そして少し身体を捻らせて、情欲に濡れながらも戸惑いを隠せない瞳で、竜紅人を見た。 香彩のすぐ側で膝を木床に突き、同じ視線の高さになった竜紅人の顔が近い。 だからだろうか。 香彩は気付いてしまった。 同じく色欲を滲ませた伽羅色の中に、別の感情を孕ませていることに。 (……ああ) それは何度か見たことがある、真竜の本能としての嗜虐性だった。 一度目は蒼竜屋敷の神桜の木の下で。 二度目は
大司徒
(
だいしと
)
政務室の少憩室で、
寧
(
ねい
)
の目の前で神気を解放させたあの時。 竜紅人の真竜としての嗜虐性の引き金になったのは、まさに嫉妬という感情だった。 今も同じなのだろうと香彩は思う。 色欲と嫉妬の孕む、ぎらついた目をしながら、それでも香彩の罪悪感を薄める為に、紫雨と共にこの身を抱こうというのか。 「あぁっ……!」 何も考えるなと言わんばかりに、竜紅人の指が後蕾の上部を引っ掛けるようにして引き伸ばす。 「や……だ……! 無理……む、り……! もう……
挿入
(
はい
)
らな……!」 強すぎる卑猥な刺激に、香彩は顔を愉悦に歪ませた。 香彩は嫌々をするように首を横に振る。 そんな香彩の様子に、竜紅人はくすりと笑うのだ。 「──無理? 蒼竜は、これよりもう少しばかり大きかったなぁ、かさい」 「……!」 だから
挿入
(
はい
)
るだろうと言わんばかりの竜紅人の言い方に、香彩の身体はびくりと震えた。 「それに……かさい。今の俺は思念体だ。そしてお前は俺の
御手付
(
みてつ
)
きだ。お前の心内で強く『希う』思念を、俺が分からないとでも?」 「──……っ!」 香彩の顔に、さっと朱が帯びる。 途端に、ぎゅう、と紫雨の熱楔と竜紅人の指を締める
胎内
(
なか
)
が、答えを物語っていた。 ほぉう? と感嘆の息をつく紫雨の声が、恥ずかしくて堪らない。 確かに自分は思ったのだ。 ふたりを受け入れたら自分は、どうなってしまうのだろうかと。 両方、欲しいのだと。 「……違っ……!」 否定の言葉を発しても無駄だと分かっているのに、香彩は首を横に振る。 思念体が思念を読み違えることはない。ましてや己の
御手付
(
みてつ
)
きの思念だ。 ぎらついた竜紅人の伽羅色に、嗜虐性の色が増して、時折金目に煌めく。ここが暗闇の中ならば、光の軌跡を残していただろう。 竜紅人の嫉妬からくる真竜の嗜虐性が、こんな形で果たそうとされている。 香彩の罪悪感を薄める為に現れたとはいえ、
ふ
(
・
)
た
(
・
)
り
(
・
)
を
(
・
)
望
(
・
)
ん
(
・
)
だ
(
・
)
香彩に、竜紅人は容赦などしないだろう。
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結城星乃
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