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第178話 成人の儀 其の四十四★ ──二輪挿し──
そして紫雨 もまた。
「無体な、と言いたいところだが……何とも唆 ることよ。お前が望んでいるのならば、尚更、狂宴の華となろう」
喉奥でくつくつと笑いながら、爵酒器から酒を呷るのだ。
ふたりの言葉にいやいやをするように香彩 が再び頭を振る。目に映っている信じられない光景に、熱を孕んだ恐怖が背筋を駆け上がる。だがそれはやがて期待という名の熱に変わってしまうまで、そう刻は掛からなかった。小刻みに震えながらも、香彩の尾骶は甘く疼く。
ふいに頤を掴まれて、香彩に口付けるのは紫雨だった。とろりと咥内に流し込まれるのは、最上の酒である神澪酒だ。
先程、竜紅人 の神気の塊である熱を飲み干した今の香彩にとって、それはまさに強烈な媚薬だった。
「…んんっ、んっ……」
喉を通る神澪酒がやけに熱い。臓腑に落ち、じんわりと染み渡る頃には、まるで奥底から灼かれているかのように身体全体が熱くなった。
「……はぁっ、はぁ……ああっ、あ… 」
そんな香彩の様子を見計らい、紫雨が唇を離せば、すぐに熱くて荒い息が香彩の唇から洩れ、紫雨の唇を擽る。
そして紫雨のついた情欲の息もまた、香彩の唇を擽るのだ。
「言っただろう? 今宵限りの狂宴だと。次はないと、お前とそして竜紅人に誓おう。だからいまは……俺と竜紅人に咲き狂え、かさい」
「……あ……」
くちゅりと卑猥な水音がした。
紫雨の熱楔の挿入 った香彩の後蕾の上部を、竜紅人が三本の指でばらばらに動かす。
神澪酒の効果か、それとも紫雨の言葉に理性が解けたのか。後蕾は貪欲にもすでに挿入 られている紫雨の剛直と竜紅人の指を呑み込み、奥へ奥へと蠢き始める。
「んっ……りゅ……」
名を呼びながら香彩が竜紅人を見る。卑猥な熱に蕩ける深翠の瞳は、明らかな『期待』の色を帯びていた。
「……りゅ……」
香彩が名前を呼ぶ度に、艶かしく滑りを帯びた結合部分が、挿入してほしいとばかりに、ひくつきながら甘猥に誘う。
やがてくるだろう未知の悦楽を渇望して浅ましくも昂り、三本の指を秘口で舐めしゃぶる様子に、息を詰めたのは竜紅人だった。
荒い息を吐きながら、挿れている指に添えるようにして、猛り勃った赤黒い屹立を、後蕾の襞に押し当てる。
「……挿入 るぞ……かさい」
竜紅人の言葉に、ほんの少しの恐ろしさと喜悦に震えながら、香彩は小さく頷く。
逃げられないようにか、もしくはその震えを少しでも慰めようとでもしたのか、紫雨の腕が香彩の背中を抱き締めたと同時だった。
「……ぁ、ゃ……んッ!」
既に剛直を咥え込んでいた後蕾に、更にもう一本、赤黒い肉刃が容赦なく根元まで捩じ込まれる。
「──! ……ァ……──!」
その衝撃に声にならない悲鳴を上げながらも、香彩は空気を求めて、口をはくはくと開 く。
ここまで拓かれたのは、たったの一度。
蒼竜を受け入れた時だけだった。
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