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第179話 成人の儀 其の四十五★       ──抽挿──

 だが身体は覚えていたのだろうか。二本の剛直を受け入れた蕾は少しずつ柔軟になり、もっと奥に欲しいのだとばかりに蠢き始める。そうなってしまえば、多少の苦しさは残るものの、香彩(かさい)を待っているのは快楽という名前の拷問だった。 「んんっ……ああぁぁっ!! んっ……あ…っ! はぁっ、はぁ…… 」  開始された緩やかな注挿に声を上げる香彩は、苦しさの中にも明らかな色を伴い始める。  紫雨(むらさめ)竜紅人(りゅこうと)。  二人に求められ抱かれているのだという淫らな現実が、臓腑を押し上げる苦しさすらも、徐々に灼熱の快楽へと擦り変わっていく。  互いに動きの違う律動に、胎内(なか)挿入(いれ)られた二本の剛直が擦れ合う。  淫猥な水音を立てながら交互に抽送を繰り返し、腹の奥にあるもうひとつの蕾を突きながらも、香彩の弱いところを何度も擦り上げられれば、胎内(なか)は男根をぎゅうと締め上げる。 「……っ、少し力を抜け、かさい。お前の後蕾(ここ)に食い千切られそうだ。それとも俺と竜紅人の物は……そんなに美味いか……?」  そう耳に吹き込まれるのは、息を荒くし、色で声を掠れさせた紫雨の官能的な低い声だ。  熱い息遣いが耳朶を擽れば、ぞくりとしたものが背筋を駆け上がり、尾骶は鈍く疼いて痛む。その疼きは胎内の二本の剛直を、更にぎゅうぎゅうと締め付けるのだ。 「あ……」   そのまま弱い耳朶を紫雨に舐められ、柔く食まれて、後蕾からくる強い悦楽とはまた違った心地悦さに、香彩は大きく息をついた。  その後孔の力が抜ける刹那を見計らっていたのか。  ぐっと更に奥に入り込んだ二本の男根は、結腸の蕾を押し拡げ、臓器を押し潰さんとばかりに、胎内を掻き回した。 「……や、あ、ぁぁぁぁっ! …んんっ…、はあぁ……」  苦しいばかりだった腹に悦楽の色が更に増す。熱の籠った吐息を吐きながら、無意識の内に香彩の手は、臍の下辺りを撫でる。  この手の下で、まるで最奥に我先にと争うように抽送する紫雨と竜紅人の雄があるのだと思うと、堪らなく淫靡な気持ちになった。  そんな香彩の様子に、くつりと紫雨《むらさめ》が笑う。 「……あの淑女ように慎ましく固かった小さな蕾が、このようなものを二本咥えるとは……何とも淫らな子だ、香彩」  耳輪を食み、舌を這わせて、官能的な低い声を吹き込みながら、紫雨は緩い律動で腰を揺らし、熟れた胎内(なか)と結腸の蕾を擦るように突き上げる。 「……あの時よりも拡がったか? これなら本性の雄も受け入れられそうだな、かさい」  羞恥を煽るように囁く竜紅人は、艶かしく腰をくねらせて、先端で結腸の蕾を掻き回すように動かす。  やがて。 「──っ、あ…あぁぁぁぁ……っ!!」  ぐぼっ、と淫猥かつ卑陋な音を立てて、二本の剛直が同時に結腸の蕾を越えて、更に奥へと入り込んだのだ。  

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