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第301話 白き世界の幽囚 其の三 ★
「……っ、……んんっ」
香彩 の上半身を撫でていた手が、薄桃に色付いた乳暈に触れる。焦らすように形を擦るように、指がまあるく円を描くと、今まで散々愛でられた経験からか、乳暈がふっくりとしてくる。やがてもっと愛でて欲しいのだと言わんばかりに、乳嘴が天を向いて硬く勃ち上がった。
「んっ……だ、めっ……ぁ」
先程よりも更に弱々しくも、香彩は抵抗の言葉を口にする。
だが身体は既に竜紅人 に堕ちていた。
彼の声を言葉を聞きながら、生まれたままの姿を彼の目の前に晒す。
竜紅人の目は何よりも雄弁だ。
視線に籠められた欲情に刺激されて、ただ視られているだけだというのに、香彩の背中をぞくりとしたものが駆け上がり、だんだんと息は乱れていく。愛撫するかのように視線だけで若茎を嬲られると、それだけでもう若茎からは、とろりとした蜜が溢れ出し、つつと糸を引くのだ。
その蜜糸を指先に絡め、軽く遊ばせた竜紅人は、まさに甘露とばかりに、美味しそうに自身の指先を舐める。
そうしてまだ愛でていない、もう片方の胸を頂きを軽く爪弾けば、甘くも悩ましい呂律 が鳴り響いた。
「いい声で啼くなぁ、かさい。──お前から俺以外の匂いがついてるのは、正直言って腹立たしいことこの上ない。だがここは夢床 。俺の痕も匂いも目が覚めれば消えてなくなる。それでも……上書きさせろ」
──そして自分が誰のものなのか、逃げないでちゃんと見てろ……かさい。
「あ……」
胸元に竜紅人の熱い息が掛かる。
聞こえてくる彼の艶かしくも官能的な息遣い。
精悍さに隠された甘さ混じりの表情に、ただただ感じるのは壮絶なほどの色気だった。
「──っ! あぁっ……んっ!」
竜紅人は胸の漿果に軽く牙を立てた。
性感を暴かれた乳嘴は紅く色付き、彼の口や手で好きに弄ばれる。片方は指先で捏ねながらも押し潰され、弾かれて。もう片方は彼の口腔にある牙が宛がれては、甘い痛みを与えられる。ねっとりとした舌で執拗に絡められて、貪るように強く吸われれば、卑猥に濡れた音が鼓膜を刺激する。
まるで耳からも淫靡な水音に犯されているような気分になって、香彩は堪らず身体を捩った。
「あっ、んんっ、はぁ……あぁ……やぁ……っ!」
幾度も繰り返されるそれに身体は跳ね、自らの艶かしい声が鼓膜に焼き付く。
強く吸われながら唇を放されると、薄い胸の上に刺激によってすっかり色付いた頂きが、唾液に濡れて硬く上を向いていた。
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