302 / 409

第302話 白き世界の幽囚 其の四 ★

「……痛っ、んぁ……っはっ」  乳暈のまわりを優しく噛まれて、香彩(かさい)の白い肌に紅色の牙痕が浮かび上がる。幾度か甘噛みしながらも竜紅人(りゅこうと)は、柔らかい腹を吸い、痕を残す。そのじんとした痛みすらも凌駕し、喜悦へと変わっていく。  長い舌を臍孔に捩じ込ませ、ぐうるりと責める竜紅人に香彩は、いやいやと頭を振った。  唾液の泉が臍孔を満たしたことに満足したのか、やがて竜紅人の舌と唇が、香彩の若草のように柔い下生えに辿り着く。  既に勃ち上がっている屹立を避けて、ざらついたその場所を味わうようにじっくりと舐められて、香彩は恥ずかしさのあまり、拘束された手足をこれでもかと動かした。  途端に別の気持ち良さだけが、香彩の脳裏を襲う。  香彩の背後から、くちゃりと卑猥な水音がした。  全く触れられていない香彩の花芯を扱き上げるような、そんな快楽を感じる。(いざらい)に感じる冷たさは蒼竜の尻尾だろうか。  竜紅人が竜尾を使って『香彩』の若茎を責めているのだ。  そう思うだけで嫌だという感情が湧いてくるというのに、弱いところをこれでもかと責める竜尾に、蕩けるような悦楽が香彩を襲う。  それだけでも駄目だというのに。 「──えっ……」  より竜紅人が愛でやすいようにという、『香彩』の配慮か。  それとも自らがそう望んでしまったのか。  足首を拘束していた『心の魔妖(かさい)』が、香彩の足を広げ、固定する。 「──っ!」  香彩の透き通るような白い足は、しどけなく広げられ、若茎から溢れる蜜によって濡れそぼつ、ふぐりや薄桃色をした後蕾が竜紅人の眼前に差し出された。  蕾は香彩の息遣いに合わせて、はくはくとひくつき、その開花を今か今かと待っているかのように見える。  若草の茂みを堪能していた竜紅人がそれを見遣り、再び喉奥で笑った。熱い息が茂みに、そして太腿の付け根に当たって、香彩の身体は新鮮な川魚のように、びくりびくりと跳ねる。 「随分と素直だな、香彩」 「……んんっ……! 違っ……あぁ!」   香彩に与えられる狂おしいほどの悦楽には、法悦を迎える決定的なものがない。  唾液の水玉を飾り付けるほどに茂みの肌を責めていた竜紅人が、とろとろと蜜の溢れる香彩の若茎を敢えて避けて、太腿の付け根を舐め上げた。  それだけでびくびくと跳ね上がり震える太腿を、宥めるように優しく掴みながら竜紅人は、太腿の付け根に幾つもの痕を残す。  脳裏の気持ち良さはずっと続いていた。  竜尾の先端に巻かれ、すぐには気を遣らないように絶妙な力加減で扱かれる『香彩』の若茎からは、とぷとぷと白濁混じりの蜜が鈴口から溢れていた。それは竜尾に付いている尾毛を、しとどに濡らしていく。  溢れ滴る蜜に竜紅人は何かを感じたのか。 「──ひ、ぁっ! あぁぁっ」  彼は『香彩』の若茎に蓋をした。

ともだちにシェアしよう!