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第304話 白き世界の幽囚 其の六 ★

「……っ、はぁっ、はぁ……やぁ……っ」  数回に分けて吐き出された熱を、竜紅人(りゅこうと)が余すことなく嚥下する。内に残るものを全て寄越せとばかりに強く吸い付かれて、香彩(かさい)の細い腰が更に戦慄く。  息を乱し陶然としながらも薄く目を開けた香彩は、竜紅人の喉仏が最後の残滓を飲み下す為に上下する様を見せ付けられて、そのあまりの色気に眩暈がしそうだった。   はぁ、と熱い息を若茎に吹きかけて顔を上げた竜紅人は、これ見よがしと手の甲で口の端を拭う。それすらも惜しいのだとばかりに長い舌を出し、手の甲を舐める。  その姿に香彩は再び兆した熱を自覚した。 「やっぱり甘いな。お前の精は大変美味な馳走だ」  「……っん」  耳に吹き込まれるその言葉すらも、快楽に落とし込む色を孕んでいるかのようだ。  脳裏の『気持ち良さ』は未だに続いている。  絶妙な力加減で『香彩』の淫孔を責め続ける竜尾を感じながらも、いつの間にか増やされた自身の後蕾の指に悶絶する。  竜紅人が四本の指を動かす度に、ぐちゅりぐちゅりとした淫靡な水音がした。 「──っ、やあぁっ……ん、っだめ、だめっ……」  長い彼の指が快楽の凝りと、刺激による奥の媚肉の蠕動を楽しむかのように、胎内(なか)を擦り上げる。その度に奥の奥から分泌される、御手付(みてつ)きの香りの伴った淫水が溢れ、竜紅人の手を、衣着の袖口を濡らしていく。  間接的に淫口から、そして胎内(なか)から、快楽の膨らみを同時に愛でられているも同然だった。 「すっかり変わったな、お前の身体も。発情期の蒼竜を受け入れられる、御手付(みてつ)きの身体だ」  その時が楽しみだ、と。  香彩の耳輪を口に含みながら、竜紅人は胎内(なか)の指の動きを速めた。容赦なく腹側の凝りを突かれて、抉るように指先を使われて、射精感よりも比べ物にならない程の、深い深い法悦が焦らすように込み上がってくる。 「あぁぁ……や…あぁ…っ、なかで……っ、いっ……!」  だが。  奥から押し寄せる深い悦楽の波は、絶頂を迎えることなく、じんわりと胎内(なか)を灼いたまま留まる。  竜紅人が胎内(なか)を責めることを止め、四本の指をゆっくりと抜いていったのだ。 「──っ、や…あぁ…っ、なんで……りゅ……!」    追い縋るかのように媚肉が指に絡む。だが蠱惑な指先は媚肉を軽く宥めると、ついに胎内(なか)から出て行ってしまう。  後蕾の窄まりが、いやらしくも、はくはくと口を開けてひくつくのを、もう止めることが出来ない。  香彩は荒く息をついた。   竜紅人の指はそんな卑猥に動く窄まりの皺をまあるく撫でながら、もう片方の手でしゅるりと自身の下衣の帯を解く。  現れた熱楔に香彩は、思わず淫悦の波を忘れて息を呑んだ。  それは怖れか。  それともぞくりと背筋を駆け上がるほどの期待か。  二本の熱楔が血液の管を浮き上がらせ、つつと欲望の蜜を垂らしていた。  

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