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第357話 蒼竜との御契 其の五 ★

「──ひぁんっ!」    まるで蜜の筋を擦るかのように、蒼竜に太腿と臀を舐め上げられて、香彩(かさい)は淫猥な色声を上げた。あまりの気持ち良さから無意識の内に逃げようとしたのか、身体が前のめりな姿勢になる。   ぽふ、と香彩の顔が蒼竜の柔らかい腹部に当たった。  どうしてこんなところにお腹がと思ったのも束の間、蒼竜が香彩を逃がさないようにと、その大きな身体を使って自分を囲うように座っていることに気付く。  香彩の反応に気を良くしたのか、蒼竜が再び低く唸った。  それはまさに竜の聲。  聲に含まれる彼の意思は、こう告げている。  もっと腰を高く上げてこちらに差し出せ、と。   「あ……」    身体が蒼竜の意思に従う。その仄暗い甘美さとこれから行われることを想像して、ふるりと身体が震えた。吐く息は更に熱く、蒼竜の腹を擽る。  それが刺激になったのか。  目の前の柔い腹部に割れ目が現れた。薄桃色をした内膜のようなものが見えてしまって、香彩はそれが何なのか分からず、思わず息を詰める。とろとろとした透明な粘液が、割れ目から溢れ出す様は淫靡で堪らない。どこか陶然とした心地で見つめていると、一層濃い発情の匂いが辺りを充満する。同時に割れ目から現れたものを目にして香彩は、恐ろしさと興奮と悦びを一度に味わったかのような気持ちになった。  それは凹凸のある濃桃色をした、二本の陰茎だった。  人形のものとは明らかに違う、太くて長い蒼竜の陰茎を見たのは初めてではない。だがいつも挿入る直前にしか、見たことがないものだった。それが腹の割れ目から現れて、目の前で雄々しくも勃ち上がっていく様をじっくり見るなど、香彩にとって初めての経験だった。   (これがいつも僕の……)    僕の胎内に挿入(はい)っていたのだ。  途方もない快楽を与えてくれていたのだ。   二本の陰茎の先端からとろりと白濁混じりの透明な蜜が流れていく。そんな様子に誘われるかのように、香彩は愛しい気持ちを込めて先端に口付けた。全てを咥えるには大きすぎるそれに、香彩は唇で啄みながら吸い付く。そして裏の筋に沿って舐め上げれば、明らかに先程とは違った高い唸り声を蒼竜は上げた。  ああ、見られている。  自分が舌を出して蒼竜の陰茎を舐めているところも、蒼竜に向かって突き出している臀も。  そう思うと自然と腰元が震えて、尾骶に鈍い痛みのような劣情が溜まっていくかのようだった。  蒼竜の熱い息が香彩の細腰に掛かる。  長い舌を出して蒼竜は、お返しとばかりに香彩のしなやかで白い背中を、項に向かって舐め上げた。

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