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第358話 蒼竜との御契 其の六 ★

「はっ……」    じわりと背を忍び上がった快感が、あえかな吐息に形を変えて、唇をこぼれていく。悦楽に浮かされる気持ちのままに、香彩(かさい)は陰茎の先端を何度も何度も吸い付いては、円を描くように舐め上げた。  舌の上に蒼竜の熱が乗る。  味わうようにして飲み込めば、何とも言えない甘い香りが鼻の中を抜けていく。  ぼぉうとする頭の隅で、もう少しこの陰茎が小さければ口で咥えることが出来るのにと、不埒なことを思った。喉の奥が疼いて仕方がない。濃厚な蜜を滴らせながら、この口腔の全てを犯して欲しい。この口腔の全てで愛したくて仕方がない。咥えることが出来ない切なさをぶつけるかのように、香彩は幾度も舌を使って先端を竿を啄む。  蒼竜が堪らないとばかりに低く唸りながらも、長い舌を使って再び腰から項に向かって舐め上げた。まるで何かを塗り替えたいのだと言わんばかりに執拗に。  噎せ返るような濃密で甘い香りに包まれて、香彩の艶声混じりの吐息がだんだんと荒々しいものへと変わっていく。   「──はぁ、っ……や、ぁっん……!」    腰元で折り返していた蒼竜の舌先が、瑞々しい白桃のような(いざらい)を、太腿の付け根から曲線に沿って舐める。  そしてまるで焦らすかのように、僅かに掠める後蕾に。   「あ……!」    鈍い痛みにも似た、ずくりとした快楽を尾骶に感じて、力が抜けそうになる。  意思が通じないはずの蒼竜の唸り声は、だがそれだけでも十分に雄弁だった。  香彩の反応に満足そうに低く唸ったと思いきや、気に入ったとばかりに(いざらい)をまあるく舐める。やがて一番肉付きの良い部分を竜の牙で甘噛みされれば、ついに力は抜けて、色付いた喜悦の声が唇から零れた。    「や……ぁ……んんっ!」     一層高く上がる艶声に居た堪れなくなって、香彩はぎゅっと口を閉じる。懸命に唇を噛み締めながらも、端から溢れる吐息が蒼竜の陰茎に当たるその様を、蒼竜はどう思ったのだろうか。  先程よりも高い声で蒼竜は鳴いた。  びくりと香彩の身体が大きく反応する。  彼は『竜の聲』でこう伝えてきたのだ。  声を我慢するな、と。   「……っ、だめ……っゆるし……──!」    蒼竜に懇願しようとした香彩は、更に襲ってきた快楽に息を詰めた。  刹那。   「あ……っいや……あっああっ……!」    重く濡れた蒼竜の舌に後蕾の皺の上を、まあるく舐められて、香彩は感じるがままに啼いた。   「……ん、ふっ、ああ……」    まるで窄みの皺をひとつずつ確かめ、そして味わうかのように、蒼竜の舌先の細い部分が丁寧に後蕾の周りを舐める。そして余程気に入ったのか蒼竜は、瑞々しい果実のような双臀を、再び甘く齧っては美味しそうに舐め上げるのだ。その度に、ふるりと揺れる様は、まさに熟れた果実そのものだった。  

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