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第359話 蒼竜との御契 其の七 ★

 窄みが充分に濡れてくると、僅かにある凹みに唾液の溜まりが出来始める。無意識の内にひくついた蕾が、薄桃色をした花片を覗かせて、唾液を呑み込もうとしているかのようだ。  受け止め切れずに零れ落ちそうな唾液を蒼竜が舌で受け止めて、後蕾へ押し込めながらも浅い部分を抽送する。  柔らかく動く舌先が執拗に蕾の表面を往復し、硬く閉ざされたそこを割り開いた。小刻みに浅い部分の挿入を繰り返しながら、確実にゆっくりと胎内(なか)へ入ろうとする。  蒼竜はすぐ知ることになるだろう。  硬いのは蕾と浅い部分だけで、その奥は。  貴方の物の匂いのする、貴方の為だけの蜜で、すでに熟れていることを。   「はっ……あっ……」    舌は胎内(なか)のある所まで達した時点で侵入を止める。  ぐる……と低く唸った蒼竜は、やがて嬉しそうな高い声を上げた。  きっと気付いたのだ。  御手付きの身体が、発情期の蒼竜の匂いに触発されて、蒼竜を受け入れる為の身体へと変化していることを。  だがそれでもまだ足りないだろうとばかりに、蠢く舌が胎内(なか)を舐め上げて拡げる。その熱さがどうにも堪らず、香彩(かさい)は頭を横に振った。  本来ならば性急に太い舌を入れられて、苦痛しかないはずのその場所は、唾液に含まれている神気と、体液の催淫の効果、そして発情の匂いに作り変えられた身体によって、じわじわと灼かれていくかのような、快感を生み出している。  香彩の若茎が再び熱を孕んで、ゆるりと(もた)げ始めた。  その様子を蒼竜がじっと見つめていることを、香彩はよく知っていた。毅い視線を感じるのだ。  じっくり、ゆっくりと。  熱い舌が、じゅくと淫らな音を立てて、蕾の中を掻き回す。   「んっ……! ぁっ……! っ……んんっ、ん」    艶声を上げながらも香彩は負けじと、美味しそうな蜜を垂らす目の前の竜の陰茎を、啄みながら舐めて吸い上げる。   「んっ…ぁっ…! あぁぁ…っ!」     だが蒼竜の舌先が腹側にある弱い部分に触れた途端、香彩は思わず陰茎を口から離し、一層色付いた声を上げた。  自分の御手付きが深い喘ぎ声を上げたのだ。それを見逃す蒼竜ではない。  蒼竜の舌先が執拗に、腹側のしこりを責める。   「んっ、んっ……! あぁっ……は……」    背筋を駆け上った感覚の鋭さに、覚えず身悶えて甘い喉声を立てた。視界が裏返ってしまうかのような、明滅に襲われて、思わず背筋が反り返る。  そうしていつの間にか四つん這いのまま、求めるがままに腰を突き出したような格好だ。  はしたない、恥ずかしいと頭の隅でそんなことを思いながらも、拒みようもなく与えられる思いもかけないほどの淫靡な刺激に、身体の奥から滲み出す熱の甘さがやり切れない。      

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