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第360話 蒼竜との御契 其の八 ★

「そこ……いいっ……! あぁ……!」    蒼竜は容赦がなかった。  硬くした舌先で腹側のしこりを突いていたと思いきや、舌先を進ませ、ざらりとした舌の腹で転がされる。  幾度と繰り返されるそれに、とろりと先走りの蜜が零れ落ちた。   「……りゅ……う……!」    柔く竜の陰茎を掴みながら、香彩(かさい)は肩越しに蒼竜を見る。  香彩の視線に気づいた蒼竜が、くぅと鳴いて綺麗な翠水の瞳を細めていた。  愛しいのだと。  言わんばかりの優しい眼差しと、瞳の奥に揺らめく情欲の熱に、身体は更に熱さを増していく。  香彩は快楽の熱に浮かされながらも、蒼竜の瞳に応えるように、妖艶に笑んだ。りゅう、と甘く呼ぶ声は、まるでもっとと蒼竜からの愛撫を、強請っているようにも聞こえる。  溶かしてほしい、もっと。  この気持ちもこの胎内(なか)も、もっと貴方の熱で溶かして欲しい。  一度、自ら奥まで受け入れ、熱いもので灼かれた経験のある身体は、そのことを思い出して、無意識の内に快楽を追おうとする。自然と蒼竜に向かって更に腰を突き出す香彩に、蒼竜は嬉しそうに、ごろごろと喉を鳴らした。  竜の長い舌は腸壁を押し広げながら、奥へと進んでいく。   「りゅ……──!」    香彩は息を詰めた。  腹側の弱い凝りを転がしていたのは、舌の腹だ。  では舌先は。  長い舌の、細くなった先端は。  一番奥にある、もうひとつの窄まりである結腸の蕾を拓かせようと、蕾を掻き回すように舐めていた。   「──はっ……っ、はぁっ……あ、あ、っ」    幾度となく拓かれた場所だというのに、どうしても奥の蕾を解すこの瞬間が慣れない。滑りのある舌がぐうるりと這う度に、香彩の声が余裕のない嬌声へと変わっていく。  ついに蒼竜の陰茎から手を離した香彩は、下に敷かれている包布をぎゅっと握った。  これからくる途方もない快楽に耐えるために。  少しずつ、少しずつ。  熱い舌で解されて、突かれた奥の蕾は次第にどろりと溶けるように柔らかくなる。  やがて。  ぐぽ、と卑猥な音を立てて。   「──……っ、あぁぁぁ……っ!」    奥の蕾を越えて、中へと入ってくる舌に、香彩は深い艶声を上げた。   「あっ、あっ……は……っ! ああっ!」    入ってはいけないところに入ってくる、舌の熱さが堪らず、香彩は敷物を握る手に更に力を込める。  鈍痛ような、深い快楽だった。  腹の奥が灼けるような、じんとした感覚に、次第に香彩の腕の力は抜け、白い(いざらい)だけを高く上げている格好になる。  本来なら、まるで蒼竜を誘い求めている獣の様な格好が、あまりにも恥ずかしくて抵抗していたはずだった。  だが身体が、御手付きの本能が知っていた。  この大勢が一番、蒼竜を受け入れやすく、そして竜の子種が胎内(なか)に根付きやすいことを。      

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