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第361話 蒼竜との御契 其の九 ★

 蒼竜の舌先は、結腸の蕾の向こう側へ入ったものの、一度抜いて、今一度解すようにして蕾の周りを舐め回した。細くなっている舌先が小刻みに動いて蕾の入口を突くと、塗り付けられた真竜の唾液の効果によって、更にどろりと柔く蕩ける。  その柔らかさを確認した蒼竜の舌先が、再びぐぽ、と卑猥な音を立てて結腸の蕾の中へと入り、今度は更に奥まで入り込んだ。   「──っつ!」    粗荒い息を吐き、艶声を上げていた香彩(かさい)が、再び息を詰める。  行き止まりがあった。  固く閉ざされた何かがあった。  その場所を舌先が擽るように舐めた刹那。   「……っあ! あっ! ああぁ……──っっ!」    今までに感じたことのない深い鈍痛に似た快楽に、香彩は濁音混じりの深い淫声(みだらごえ)を上げた。  それは譬えるならば、きつく縛られた袋の口だ。その先には何があるのか香彩はよく知っていた。  成人の儀式の時に初めて意識した『四神の眠り袋』と呼ばれる場所だ。本来ならばこの場所は術力の源である、大きな蒼白い光の玉が鎮座している。だが香彩の袋の中にはいま、四神の光玉と三つの竜核があった。  深い深い悦楽に頭の中がぼぉうとしながらも、香彩はかつて夢床で見た光景を思い出す。  四つの光玉が術力の源である大光玉を守っている。大光玉の周りには三つの蒼玉があり、大光玉の光を浴びて、くるくると回っていた。それはまるで『力』が蒼玉を守り育てているのだと言わんばかりの光景だった。  そんな『四神の眠り袋』の袋口を緩めようと、蒼竜の舌先が責める。擽る程度だったそれが、袋口ごと細い舌の先端できゅうと締められて、びくびくと腰が跳ねる。  いつの間にか体勢を変えた蒼竜が、器用に前脚を使って香彩の腰を押さえ込んだ。より舌を密着させるような形となって、香彩はいやいやと(かぶり)を振る。  舌先は容赦なく袋口に出来た隙間に入り込んだ。   「ああっ! はぁ……あぁ……あっ、ああっ……──!いやぁ……っ」    これから与える熱の通り道を作るのだと言わんばかりに、舌先は先程よりも強く袋口を抽送させる。  言い様のない甘い痺れが身体を突き抜けた。   「ゃぁぁぁぁ……っ」    ほとほと、と。  硬く勃ち上がった香彩の若茎から、蜜が垂れて零れる。  もっと快感を得ようと、香彩は無意識の内に陽物に手を伸ばそうとした。   「──……っ! あ……」    それを強く叩いて払うのは、蒼竜の尾だ。  尾の細い先端の部分が、心得ているとばかりにくるくると香彩の若茎に絡み付く。   「ひぅっ……あっ……!」    尾の先端は緩やかに、陽物を締めて擦り上げる。その度に零れ落ちる蜜が、敷物に大きな染みを作るのが居たたまれない。  やがて尾の一番細くなっている部分が、陽物から溢れる蜜を絡め取りながら、亀頭、鈴口へと擦り付ける。そして鈴口の割れた部分から、中へ入り込もうとしているのが分かって、香彩は再び(かぶり)を振った。    

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