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第362話 蒼竜との御契 其の十 ★

「──やぁ……ぁぁぁ、だめっ……それ、だめ……っ──……っっっっ!」    蓋をするかのように、尾の先端を僅かながらに鈴口から入れられて、灼け付くような痛みと鈍い心地良さが、香彩(かさい)を襲う。  同時に袋口へと入り込んだ舌に、ここで極めろとばかりに、大きくぐうるりと掻き回されて、香彩の口からは荒い息と意味のない声が上がった。  不意に胎内(なか)の圧迫感が消える。  袋口を責めていた舌が、ずるずると抜けていき、後蕾のすぐ内側で止まる。何をされるのか理解した香彩は、期待と不安に身体を痙攣させながら、その時を待った。   「──っ、あ──……!」    今からこの媚肉の道を通るのだと、教え込むかのように。  結腸の肉輪を超え、僅かに開いた袋口へ向かって、蒼竜の舌が一気に奥まで入り込む。   「はっ……!」    過ぎた快楽と再び訪れる胎内(なか)の圧迫感に、喘ぐ声すらも出ない。この痛みにも痺れにも似た、今までに感じたことのない深い快感が、やがて破裂してしまったら、一体自分は蒼竜の前でどんな姿を晒してしまうのか、分からなくて恐ろしかった。  しかもこれはまだ前戯だ。  あの竜の陰茎を受け入れる為の準備だ。   (……それなのに……)    香彩のそんな考えを見透かしたかのように、蒼竜は後蕾の淵まで舌を引き抜いて、一気に奥の奥、『真竜の眠り袋』の袋口をこじ開けることを繰り返した。  やがて袋口から侵入してきた舌が、袋の内側をぐうるりと舐める。   「──やぁぁぁっ……!もう、そこ……っ!舐めちゃ……や……だぁ……っ!」    腹の奥の一番大事な場所を掻き回されているというのに、香彩が感じるのは壮絶な法悦だった。  見計らったように、若茎に差し込まれていた尾の細い先端が、ずぶずぶと抜き差しを繰り返す。くるりと竿に絡められていた尾が、握り込むようにして上下に動くのを感じて、頭の中が真っ白に飛んでしまいそうな快楽に撃たれる。  溜まっていく蜜のような甘い苦しさだった。  背中が腰が臀部が、蒼竜の甘い責めに、ふるりと震える。  やがて。  蒼竜の舌先が、とどめとばかりに袋底を圧し上げながら潰すように舐め上げれば。   「──ぁッ、ぁあぁ……──!!」    陽物の尾の先端が抜かれると同時に、香彩は白濁とした凝りを、どぷりと吐き出したのだ。  刹那。  香彩の身体から、今までにない程の濃厚で、噎せ返りそうな甘い『御手付き』の香りが吹き出して、辺りに充満する。  蒼竜が嬉しそうに、ぐると唸ると、後蕾からずるりと舌を引き抜いた。   「んっ……」    溢れ出してくるのは、散々塗り込められた蒼竜の唾液だ。それは臀部から太腿を伝い、敷物へと染み込んでいく。  深い法悦に息を荒くしながらも、香彩はまだ腰を高く上げていた。息をつけば、蒼竜の舌の形のまま、ぽっかりと空いた後蕾が元の形に戻ろうと、ひくつく様が分かって、居たたまれない。  居たたまれないというのに。   「──あ……」    血管の浮き出た竜の陰茎を宛てがわれて、香彩は大きく身体を震わせた。後蕾のひくつきがまるで先端に接吻(くちづけ)を繰り返し、物欲しそうに求めているかのようで堪らない。  蒼竜が咆哮する。  早く食らってしまいたいのだとばかりに、欲望の滾りを乗せて。

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