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第368話 蒼竜との御契 其の十六 ★

「や、やぁ……っ!ああっ……──! あっ、はぁ…… 」    ぐっと差し込まれる牙と、滴るそれを舐める舌の感触に、ぞくりとしたものが背筋を駆け上がる。痛みは全く感じなかった。あるのは酩酊するような気持ち良さだけだ。  一頻り、血を舐めて満足したのか、蒼竜が香彩(かさい)の肩から牙を抜く。  ぽっかりと開いた牙痕を名残惜しそうにひと舐めすれば、傷はすっかりと治り、元の綺麗な白い肩に戻る。  血を舐めて興奮したのか、蒼竜が高く吼えた。  甘い息を荒々しく吐き出しながら、一瞬にして律動を激しいものに変える。袋内の無防備な部分を荒々しく反り返った竜の陰茎によって情け容赦なく踏み荒らされ、袋底を責められる度に、陰茎と熱によって膨らんだ腹が、たぷんと揺れた。  それはまさに暴力的な快楽、だった。  訳の分からない内に翻弄されて、頭の中が真っ白になっていくようなそんな感覚に、香彩はいつの間にか泣いていた。綺麗な翠水から流れる清らかな涙を、それすらも馳走なのだと言わんばかりに蒼竜が舐め取る。    ああ、今はこの涙すら貴方のものなのだ。    そんなことを思った刹那、ぞわりとした粟立つものを心の中に感じて、香彩は身体をふるりと震わせながらも、胎内の陰茎をぎゅうぎゅうと締め上げる。  もっと欲しい、と思ってしまった。   「──あ、ああっ……、もっと、もっ……とぉ、りゅう……」    欲しい、もっと注がれたい。この胎内をもっと熱で満たして欲しい。胎内にある竜核に、たくさんたくさん注いで、孕ませてほしい。そうしてこの力では敵わないこの強大な雄竜に屈服させられたい。   「りゅう……好き、んんっ、はぁ……大好き……!」    もっと奥で受け止めたいのだと言わんばかりの身体は、無意識に腰を更に高く上げて蒼竜に擦り寄り、香彩自らも腰を振る。結合部から聞こえてくる重くて卑猥な水音が、竜と人の御契の深さを物語っているかのようだ。  まさにそれは蒼竜の粗暴な寵愛だった。  その熱を。  灼かれるような熱い白濁を。   「──っ、あぁぁぁぁッ……!!」    香彩は蒼竜の前脚に必死にしがみつきながら、途方もない法悦と共に一心に受け止めた。  射精を伴わない胎内の絶頂と、袋内に放たれた竜の精の熱さに香彩は悶絶する。瘤が緩んだのか、受け止め切れなかった白濁が溢れてくる感覚がした。  香彩の身体がまるで地に打ち上げられた魚のように、びくびくと跳ねる。  

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