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第378話 片翼の睦言 其の四
縛魔師の夢は物事の行く末を示唆すると謂われている。特に夢床に降りた際に出会った者や視た出来事は、他者の干渉がない限り事 実 であり、後々の自分自身に大きく影響するという。
夢を解くことは、本来なら香彩の得意分野だったはずだ。
そんな縛魔師の本質を、本分を歪めてしまうほどの理由が自分なのだという自覚が、蒼竜にはあった。
何とかしてやりたいと思う。
香彩がいま何を思うのか聞きたい。
そして自分がどれほどを思いを香彩に対して持っているのか、話をしたい。
そう思う反面、香彩の縛魔師としての在り方を崩してしまえるほど、自分という存在が彼の心の奥深いところにまで根付いていることに、仄暗い悦びを感じてしまう。
ぐる、と低く唸りながら、蒼竜はなるべく香彩の顔がよく見えるところに頭を下ろした。
自我が戻ってきても、身体の大きさを変化させることが出来ない。それはまだこの竜形が、発情期から抜けていないことを意味している。
もっとこの竜形を小さく変化させることが出来れば、もっと香彩に寄り添って眠れるというのに。
この華奢な身体に負担を掛けなくて済むというのに。
くわぁぁと蒼竜が再び大きな欠伸をした。
竜の身体が眠りを欲している。
神気を回復させて再度、自身の御手付きに注ぐのだと、真竜の本能が蒼竜に訴え掛けてくる。
香彩のしなやかでまろみを帯びた身体が、竜尾を身体全体で抱き締めるようにして眠っていたが為に。
何としても守ってやりたい庇護欲と、神気が回復したら胎内にこの熱楔を突き立てたいという劣情に苛まれながら、蒼竜は再びその瞳を閉じたのだ。
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