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寒空_2

――うっま!旨いな!何これ、高級品!?」 「いえ、近所のスーパーで買ってきたレバーです。お口に合ったようで何より」 「味付けも最高!」 結局、連れて帰って来てしまった。 一夜明けて時刻は昼を過ぎる頃。一度目を覚ました彼は貧血と空腹を訴えたので、こうして焼いたレバーを差し出してみたのだが、なかなかお気に召したようだ。 「一応血抜きはしなかったのですけど……生き血じゃなくて申し訳ないです」 「ん?いやこれで十分。腹も膨れるし旨いし栄養ちゃんと取れるしな」 「はぁ……そういうものなんですか?」 「んー……まあ生血の方が栄養価高いのは事実だけどな。中でも人間の血は極上ってのは昔から言われてる」 「言われてると仰るのであれば、貴方は飲んだ事がないと?」 「あったり前だろ!この牙に誓ってねーよ!」 牙に誓われても……。 「でも昨晩涎を垂らして私の顔を覗いていらっしゃいましたよね?」 「うっ………いや、それは、その違くて」 しどろもどろになる彼はどう言ったもんかと両手で頭を抱えテーブルに突っ伏してしまったので、話題を変えることにする。 「では普段からレバーでも食べているんですか?」 「まあ食う時もあるけど、普段は………………――あ!?」 彼が勢いよく立ち上がったせいでテーブルに並んだ食器は派手な音を鳴らす。 「やっべぇ……仕事!悪い、俺行かないと!」 「え、はぁ……」 「夜また来るから、これ取っておいて!じゃ!」 彼が指したこれとは食べかけのレバーの事で、言うなり早々と駆け出して行ってしまった。 仕事……なんてしているのか、吸血鬼なのに。 と言うか。 「…………夜も、来るんですね」

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