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第6話 二人で行く道

 卵を落としたスープを飲み干し、パンとチーズを少しずつかじって、無理やり詰め込むだけの朝食を終えたルシオはすぐに身支度を整え始める。 「なんだ、もう動くのか?」 「塔に医者が着いたら、そこでなにがあったのかをあいつらに聞くはずだ。僕は修道僧たちを襲って神子としての役割を放棄した逃亡者だ。追手がかかる」  アルは軽く目を見はって、呆れたように肩をすくめた。 「それなのに医者を送ったのか。 まあ、君がそれでいいと言うなら俺は口は出さないし、付いていくだけだ」 「そうだ、お前はどうしてまだここに居るんだ。付いていくってなんだ。助けてもらったことには感謝するけれど、これ以上僕と一緒に居るところを見られるとお前も襲われる。あいつらは聖職者なんかじゃない」  アルだってルシオを運び入れ塔に医師を送ったことで関係があることが知られてしまっている。早く宿を立たなければならないのはアルも同じなのだ。  いくらアルが軍人あがりで腕に自信があるとはいえ、修道僧たちは数で押すことをなんとも思ってはいない。なんの罪もない町の青年だって、ルシオに手を貸したばかりにひどい暴行を受けた。  これ以上アルを、誰かを巻き込みたくはない。これ以上、自分が生きていることを呪いたくはないのだ。 「銃を教えてくれただけで十分だ。お前とはここで別れる」  アルはまるで駄々をこねる子供を見守るように、目を細めてうっすらと笑みを浮かべた。椅子に座ったまま鷹揚に身体だけをこちらに向け、大きな口を開けて最後のハムを飲み込む。 「なにを言う。俺を雇ったのは君だ。報酬分は働かせてもらおう」  それに、とアルが続ける。 「君と俺とはもう一心同体だ。どんなに距離を置こうと、離れることはない」 「どういう意味だ。銃の扱い方を教えてくれと依頼しただけだろう」  顔をしかめながら訝し気にアルを見る。なにか言おうと口を開いたけれど、今はそんな禅問答に付き合うよりもとにかくこの宿を立つことを優先しようと思い直しルシオは上着を羽織った。  元より何も持たず、ポケットにわずかばかりの現金と宝石を突っ込んで身一つで出てきたものだから、荷物などはない。アルはテーブルの上に残っていたりんごを数個ポケットに突っ込んで、二人は宿を出た。  夜が明けてしばらく経つとはいえ、空は低く重たい。辺りは薄暗く、湿り気を帯びた空気が肌を刺す。  この国の冬は長く険しい。夜明けは遅く、太陽の出ている時間は日に日に短くなり、太陽が昇っていたとしても分厚い雲が陰鬱に覆い隠していることがほとんどだ。  遠く高くとがった山々に囲まれ、その山頂もとうに雪化粧を終えている。連なる山々があまりに鋭く荒涼とそびえ立っている為、山を越える者はおろか足を踏み入れる人間も居ない。そのため、この近辺では通称「竜の住む山」と言われている。確かに、翼でも生えた生き物でない限りあの山は越えられないだろう。  その雪に覆われた山のすそ野からは細長いばかりの伸びた影のような針葉樹林の森が広がり、その中腹にぽつんと白い塔の頭が見えている。じきにあの森の樹々も分厚い雪に覆われ、白い塔はほとんど目視すらできなくなるだろう。人を閉じ込めておくには十分な天然の牢だ。 「君は、とりあえずその恰好をなんとかした方がいいんじゃないか」  ルシオが塔から着て出てきた簡素で薄い着ざらしのワンピースは、子どもの頃から変わらない教団の支給品だ。  アルの意見を素直に聞き入れ、ルシオは開いたばかりの服飾店で一揃え温かく動きやすいウールのシャツとズボンを買い求めた。  その上から、山を転がり落ちたせいで泥まみれになってしまったサイズの大きな上着を外套代わりに着込む。その恰好を見たアルからはまだそれを着ているのかと呆れられたが、「これは借り物だから処分はできないし、借りている間は僕の好きにしていいはずだ」と突っぱねた。  次に靴屋を訪れ、薄い靴底と布のかろうじて足先だけを覆っていたぼろ切れからきちんとなめされた革のブーツに履き替えた。  そして、仕上げに二人とも古着で手に入れたローブを身に着ける。頭から深くフードを被ればこれから雪が降り始めてもある程度凌げるだろうし、なにより外見もごまかすことが出来る。上背もあり目立つアルと、神子としてどこの誰に顔を知られているかもわからないルシオは、二人とも用心するに越したことはない。着古された様子のローブは旅慣れて見える。 「それで、これからどこに向かうつもりなんだ。どこか森の奥に小屋でも建てて二人で住むか。それとも湖の近くで暮らすのも悪くない」  相変わらず、どこか楽し気に逃亡生活を満喫しようとしているアルが言う。 「……王都だ」 「王都? 職務を放棄した神子が王都へなんの用があるというんだ」  アルが目を丸くした。  王都にはこの国で唯一の大聖堂があり、それを権力の象徴とするかのように教団の本部が置かれている。塔を逃げ出した神子であるルシオが近付くなど、火に飛び込む虫も同じだ。 「一緒に居れば今にわかるだろうけれど、教団は逃げ出したからといって僕を放っておいてはくれない。塔に代わりの神子を送り込めば終わり、というものではないんだ。国を出ようが関係ない。どこまでいっても追われて、捕まれば連れ戻される。僕たちは死ぬまで解放されない。 それならば、こちらからなんらかの手を打つべきだ」  自分自身を解放させるための手段が必要だ。 「王都は最終目標だ。その前にいくつか寄りたいところがある。その間にも捕まれば終わりだけれど」 「……ふぅ、つくづく人間というやつは面倒事が好きだな」  二人は小さな村を出て、ロバの引く荷馬車が一台ようやく通れるだけの細い道を北西に向かって踏み出した。  村を囲むようにあった針葉樹の林は多少でも防風林の役割をはたしていたようで、その樹々がまばらになってくると横殴りの強風がなにも遮るものもなくルシオの薄い身体を直撃する。  昨夜からの疲れと、崖を転がり落ちた打撲が今さらじわじわと痛みを増している。足が重い。けれど、あの村で休養するほどの余裕はなかった。今でさえ強風に阻まれて、きっと思ったほど村から離れてはいない。馬で追われればすぐに追い付かれてしまうだろう。一時でも早くもう少し人気の多い街に辿り着きたい。人波に紛れることができれば多少なりとも追手の目をかわせるはずだ。  気は焦るけれど、肝心の足がなかなか進んでくれない。  ちらと隣の大男を見上げると、今にも口笛でも吹き始めるのじゃないかと思うほど、苦もなく飄々と歩いている。しかも、脚の長さを考えれば、これはきっとルシオの歩調に合わせている。身体の痛みと自分の不甲斐なさも加わって、なんだか腹が立ってくる。 「アル」 「なんだ」 「場所を換われ」 「?」  狭い道の上で、ルシオはアルと左右の場所を入れ替わった。そうすると、強い横殴りの風もアルの大きな体躯に阻まれて少しだけマシになった気がする。守られていると思えば釈然としないけれど、利用していると思えば、まあ男としての矜持も傷付きはしない。 「やはり馬車でも馬でも買えば良かったのじゃないか」 「そんな目立つことはできない。あんな小さな村で馬車だの馬だの買い上げる人間がそうそう居るとは思えない。僕らの痕跡を残すだけだ」 「では、この俺が直々に抱えて行ってやろう」 「は? そんなことできるわけがないだろう、こんな嵐みたいな風の中で。僕みたいな発育不全の人間だって一応は男だ、軽くはない。人一人抱えて歩くというのは相当な力が要ることだぞ」 「ははは、そうかもな」  横を見上げれば、自分が風除けの壁代わりにされたというのに相変らず口笛でも吹き始めそうな顔で愉快そうに笑っている。 「それでは、せめても風除けとしての役割を存分に全うしよう」  アルは、ルシオになにも無理強いしない。服従を強制されることも、奉仕を強要されることも、感情を制限されることもない。  ちらとアルの顔を盗み見る。フードは被っていないからその精悍な鼻筋から唇、顎のラインがよく見えた。 「……変な男だな」 「君のことか?」 「お前のことだ」 「そうか? 俺から見ると君も十分に変な男だがなあ。まあ変な者同士、仲良くやろう」  アルが笑ってルシオを見下ろした。空は分厚い雲に覆われているというのに、ルシオの周りだけがまるで炎を掲げられたように明るく暖かくなった気がした。風除けのお陰で風は弱まった気がするし、身体の痛みが我慢できなくなれば隣の余裕綽々な男におぶさってもいいような気がする。そうすれば、どこまでも歩いて行ける気がする。  辺りはいつの間にか樹々がほとんどなくなり所々にかたまって数本生えている程度で、遠くに田園風景が広がる開けた草原地帯になっていた。  草原といってもこの時期は薄茶に枯れた上に霜が降り積もり、空との境目もはっきりとしないぼんやりと白く濁った風景が広がるのみだ。二人以外に道行く人もおらず、荷馬車や馬の音もしない。あれだけごおごおとうるさかった風が、ぴたりと止んだ。 「降り始めたな」  アルが空を仰いだのを合図に、音もなく大きな白い塊が目の前を落ちて行った。 「急ごう」  日が落ちてしまえば気温もさらに下がり吹雪になってもおかしくはない。風は一時といえど止んでいるし、痛みを感じていた腹や背中はとうに寒さで麻痺していて、なんとか歩みを早めることができた。  ルシオたちがようやく人の息づく証である町の明かりを遠くに見つけたとき、日はとうに落ち切っていた。風も再び容赦なく吹き付けそこに雪が加わり、二人ともあやうく雪だるまになる寸前だった。 「どうやらこの世界に生きていたのは僕たちだけではなかったらしい」 「お、皮肉を言う気力が戻ってきたか。さっきまでは何を言ってもうるさいとしか返ってこなかったからな、良かった良かった」  雪を払いつつも、アルはやはり参っているような様子を見せない。苛立ち紛れにアルを睨む。 「もう少し町が遠かったらお前に僕ごと荷物を運ばせた」 「だから、最初から運んでやろうと言っているだろう」  言い合いをしながらも、小さな食堂を見つけ扉を開く。火の入った室内の暖かさにほっと一息ついて温かな食事で腹を満たした。  小さな町の食堂は多くの場合、宿と兼業だ。この店もそうだったらしく二階が宿の部屋になっていると聞き、二人はそのまま部屋もとることにした。 「寝られそうか?」  部屋に入ると、ローブを椅子の背に引っ掛けながら何気ない風でアルがそう聞いた。  小さな宿は部屋数が少なく、ルシオたち以外にも雪で足止めを食らった商人や旅人もいるとかで一人ずつ一部屋借りることができなかった。狭い部屋の中にはほとんどくっつけるようにしてベッドが二つ並べられ、ドアとベッドの隙間にかろうじて小さなテーブルと椅子が二脚置かれていた。 「濡れたローブをそんなところに出しっぱなしにするな」  ルシオは自分のローブを壁に備え付けの外套掛けに引っ掛けて、ついでにアルのローブも椅子の背から取り上げ隣に掛けた。 「夜中になにかあった時はお前が対処してくれるんだろう。傭兵として雇っているんだから働いてもらう」 「ははっ、そういうことならまあ、働くが……。君がいいなら俺はそれでいいんだ」  椅子にどかりと座ってその長い脚を組み、食堂から持ってきたウィスキーのグラスをストレートであおる。  ルシオの今までの境遇や心に深く残る出来事をアルに話したことはないけれど、アルは時折こうしてごく自然に気遣う素振りを見せる。  アルの推察通り、ルシオは他人がいると眠れなかった。だから、今朝目が覚めたときにアルに運ばれたと聞いて内心驚いた。気を失っていたわけだから正確には眠っていたわけではないだろうし、アルに発見された時点で目を覚ますことなどできなかっただけだと思う。  けれど、アルと屋上で出会ったあの夜から、どれだけ距離が近くても長い時間を二人きりで過ごしても、恐怖も不快も感じたことがないのも確かだ。 「……僕は大丈夫だ。それより、お前はどうなんだ。短い付き合いだけど随分自由奔放な質のように見える。他人と同じ部屋で休めるのか?」  昨夜の宿の部屋は明らかに一人部屋でベッドもルシオが寝ていたものだけだった。ルシオは気を失っていたし医者も呼んでくれたようだから、アルはおそらくベッドで寝ていない。訓練を受けた兵士と言えどアルも疲れているはずだ。 「傭兵が熟睡しては役にたたないだろう」 「寝ずの番でもするつもりか。僕が落ち着かない。酒を飲んでさっさと寝てくれた方が僕も眠れる」 「あいにくとこれっぽちの酒じゃ寝酒にもならん。しかしまあ、起きていたとしてもこんな雪に埋もれた田舎じゃ遊ぶ場所もままならんしな、休めるときに休んでおこう」  その場で上着やシャツを脱ぎ始めるアルを目にすると、意識せずとも身体は強張り緊張して胸元の石を服の上から握り締めた。ルシオの様子などお構いなしに、アルは堂々と下着だけになると一つのベッドに潜り込んで背を向ける。そして、いくらもしないうちに規則正しく毛布が上下し始めた。  その赤い髪の後頭部を見ているうちになんだか馬鹿々々しくなり緊張もとけ、そっと息をついた。起こさないようにランプの明かりを消し、自分もベッドの中でアルに背を向ける。  真っ暗にすることはためらわれたけれど、アルの眠りを邪魔したくはなかった。暗闇の中で他人の寝息を聞くときっと嫌なことを思い出す、そう思っていたけれど不思議なことにルシオの心の中は凪いだ湖のように静かだった。  少し顔を上げると枕元には窓があり、外は暗闇の中をぼうっと淡く浮かび上がる白が音もなく舞っている。時折強風に煽られて激しく吹雪き、窓の枠に降り積もっていく。このままの勢いで降り続いたら、明日には宿も町も雪に閉じ込められてしまうかもしれない。  それは最悪の状況のはずなのに、やはり、アルと二人だということは気にはならなかった。それどころか、アルと二人ならなんとかなるだろう、とまで思ってしまう。状況はどうにもならなくても、自分の心が完全に折れてしまう、絶望してしまうような、そんな想像は浮かんでこなかった。  隣から聞こえる規則正しい寝息と、窓の向こうで舞う雪を見ているうちに、ルシオはいつの間にかうつらうつらと意識を手放していた。  どれくらいの時間が経った頃か、ルシオは突然後ろから口を押さえられ浅い眠りから急速に覚醒させられた。  どっと心臓が脈打ち、頭から血の気が引く。この部屋には自分とアルしか居なかった。何者かが侵入したのならば、自分はもっと早く気が付くはずだ。となれば、この手はアルの手なのだろうか。片手でルシオの顔の半分が余裕で覆われてしまっている。  そんなにも自分は眠り込んでいたのだろうか。なぜ、そんなにもアルを信用してしまったのだろうか。なぜ、こうなると想像しなかったのだろうか。一瞬で、絶望と恐怖が身体中を駆け巡る。  力任せに暴れて起き上がろうと肘を後ろに振り抜いたけれど、その腕をも強い力で易々と受け止められ掴まれてしまった。触れられたところから肌が粟立ち産毛が逆立っていく。 「驚かせてすまないが、頼むから落ち着いてくれ」  耳元で確かにアルの低い声がする。これが落ち着いていられる状況だと思っているのだろうか。普段と変わりない口調に、なんだか恐怖よりも腹が立ち始める。口を塞がれているなりに、抗議の声を上げようと叫ぶ。 「んーっ! むーんむーっ!」 「ああ、ああ、すまん、ちょっと静かにしてくれ」  アルが捕まえていた腕を離して、自分の口元に人差し指を立てる。腕が自由になったことで、ルシオは力一杯後ろに密着しているアルの皮膚に爪を立てる。 「落ち着けと言っているだろう……チッ、気のせいじゃないようだな……仕方がない」  小声で呟くアルの声は、ルシオには耳元でよく聞こえた。 「?」 「全く、ゆっくり休む暇もないとはな……寒いぞ、ちゃんと着込んでおけ」  そう言うとルシオに大きな上着とローブを押し付ける。 「……んむ?」 混乱するばかりのルシオに手早くローブを巻き付けると、一気に肩に担ぎあげた。 「なにっ……!?」 「黙ってろ、舌を噛むぞ」  アルはそのまま窓を開け放ち片足をかけた。 その時、とっくに閉店しているはずの食堂の入口に大勢の人間の気配がしていることに、ルシオは気が付いた。慌てて自分の口を塞ぎ暴れるのを止め、耳を澄ます。  不思議なことに数人の人影が動いているというのに、話し声は全く聞こえない。その人影が店の中に吸い込まれていくと、階段を登って来る気配がする。頭が状況を理解するよりも早く、危機感が全身を駆け抜ける。思わず自分を担いでいる男の首元のフードを強く握り締め、ドアを睨みつける。  音もなくゆっくりとドアノブが回されたのを確認した瞬間、吹き込む吹雪の中、ふわりと身体が宙に投げ出された。 「っ!?」  なんだ、と思う間もなくルシオを担いだまま、アルは外に飛び出し隣の屋根へと跳躍した。  どんっと鈍い音を立て屋根へと着地すると、降り積もっていた数十センチにもなる厚みのまま雪が屋根を滑り落ちていった。そんな雪に足をとられることもなく、アルは軽やかに走り、跳び、屋根から屋根へと渡って行く。 「あそこだ!」 「逃げたぞっ、追え!」  たった今まで自分たちが眠っていた窓から、男たちが数人顔を出して叫んでいる。店の外では待機していた男たちが町の中で馬を走らせて追って来る。その怒号に何事かと近所の住人たちが玄関から顔を出せば、危うく馬に轢かれそうになり悲鳴をあげる。ルシオを追う男たちは住人たちになど目もくれない。外套の下に僧侶服が見えている。間違いなく、教団の連中だった。  あっという間に小さな町の静かな夜更けが悲鳴と怒鳴り声で大騒ぎになった。  その騒ぎの中、一人だけが鼻歌でも歌い出しそうな表情で人々の混乱した様子を文字通り一段高いところから眺めながら走っていた。けれど、その肩口では下の喧騒と同じくらい叫んでいる男が必死にしがみ付いていた。 「アルっ! おい、落ちるっ! もうっ、撒いたっ! あいつら撒いたからっ! いい加減降ろせっ!」  真っ白な屋根の上を付くはずのない足跡があり得ない歩幅で残されていく。それは遠く跳躍しているからで、足を付いている瞬間よりも滞空時間が長く次の一歩までが遅い。町の外れの民家の屋根から風と重力をたっぷりと受けて地面に降り立ってようやく動きを止めたとき、アルの息はほとんど乱れていなかった。

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