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2-雨降りパーティナイト(2)

城崎さんは、今日はカレー。 見るまでもなく、ルーの上には赤い粉末がふんだんに振りまかれてる。赤いけど、もちろん福神漬けなんかじゃないよ。 へぇ、カレーも一味でいけるんだ。本当に好きなんだなぁ。うん。 自分の道を突き進む城崎さん、好きです。 「灰谷さんから聞きましたか? 三人で食事したいって言ってましたよ」 灰谷早速動いてくれたんだ。さすが。 「あの、城崎さんも来れそうですか?」 期待を込めて聞いたら、 「もちろんです」 城崎さんに、にっこりと微笑まれた。 「   」 「……あの、白田さん?」 あうあうあ。 言葉が出ない。こういうの止めてほしい。城崎さんは本気で笑う時には、前もって合図を出してほしい。 じゃないと、俺が城崎さん見つめて夢中になるあまり、言葉がなくなるじゃないですか。 口半開きのまま、せっかく綺麗な城崎さんの前にアホ面晒すことになるじゃないですか。 「白田さん、どうかしました?」 うーうー。 困った。『結婚してください』しか、セリフが浮かばない。 いき過ぎだ。ええと、ええと、『入信させてください』? だってもうこんなの、美の化身でいらっしゃるじゃん。 性別の壁越えて、もはやヴィーナスなんだって。 「あの、白田さん?」 城崎さんがちょっと笑いを堪えた顔で俺に声をかけ続けてる。 ま、まだ、まだ少し時間をください。 今気を抜いたら、城崎さんの足元にひざまづいてプロポーズしちゃうんです。 それとも、崇めちゃってもいいんですか? 「白田さーん」 くすくす笑いながら、城崎さんがスプーンでカレーをすくう。 口を閉じた時に笑みの形にきゅっと上がる口角が、たまらなく魅力的で、目が離せない。 ふぅ、とカレーを冷まして、ぱくっ。 ふえぇぇーん、城崎さんの食事シーンがR指定だよぉぉ。 はんなり薄紅の唇を、カレースプーンのサイズに合わせて大きく開くとこなんて、法規制入らないわけがないよ。 あぁっ、そんな、もぐもぐした後に唇についたカレーを舐め取るなんてっっ。 ぺろって。赤い舌で、ぺろってするなんて。 もうすいません駄目ですまじ本当にこれはもう駄目なんです。俺も舐めてもらっていいですか。え! ば、場所ですか。ゆ、ゆ、ゆびの……。 俺の妄想と忍耐と性欲が暴発寸前。無理。もう無理。 俺は何かしでかす前に残りのフライを口に放り込み、白飯をお味噌汁で流し込んで、ばちん! と箸を置いた。 「し、食事、楽しみにしてます!!」 勢いよく立ち上がってトレーを抱え、逃げるように食堂の出口へ猛ダッシュした。

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