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2-灰谷九次のよた話

会社帰りに、たまたまきのぴーと一緒になった。 そうだ、あれ聞かなきゃ。結末知りたいよね。 「あれから帰りはどうしたの。鍋パの帰り。しろやんといちゃいちゃ相合傘で帰れた?」 「い、いちゃいちゃなんかするわけないだろ! する理由がないじゃないか」 怒られちゃった。きのぴーったら恋愛が絡むと素直じゃないんだなあ。 まあ、ね。そこがきのぴーの可愛いところでもあるんだけどさ。 あ、ほっぺがちょっと赤く染まってきた。 「じゃあ、ちゃんと相合傘できた? それともきのぴーは照れ屋さんだから、またツンツンしちゃったの?」 「む、ぅ」 きのぴーが黙っちゃった。これはどういうこと? 「僕の傘が、風で壊れてしまったから、その……」 「うんうん」 相合傘したんだね? 「急いで帰った」 は? そんなこと聞いてるんじゃないよ! 「傘は? 壊れちゃったんなら誰の傘で帰ったの?」 「なっ」 わあ。ほっぺがまっかっか。触ったら熱いんだろうな。 「僕は、傘はいらないって言ったんだ」 「えー、なんでよ。せっかくのチャンスじゃん」 「なんだ、チャンスって。とにかく、僕はいらないって言ったんだが、その、白田が勝手に」 「うんうん」 さすがしろやん。やる時はやる男だね。 「勝手に傘をさしかけてくるから、急いで、帰った」 「なにやってんのきのぴー!! そんなの駄目だよ! 俺は許さないよ! そこはしろやんに甘えて、一つの傘の下、二人肩を寄せあうところでしょ!?」 もー! きのぴーはこれだから! うちにいる時はいい感じになってたのに、ちょっと目を離したらこの体たらくだよ! 「一つの傘に二人なんて入れないだろ」 「だから、くっついて『もっとこっちに来ないと濡れるぞ白田』とか言って肩でも腰でも好きなところを抱き寄せるんだよ! しろやん喜ぶよ」 「……なぜ白田を喜ばせなきゃなんないんだ」 「可愛いじゃん。しろやんの笑顔はリアル天使で可愛いじゃん」 「なら、灰谷がやってやれ。相合傘」 「ナンセンス! ナンセンスだよきのぴー!! 俺がやっても、色気の欠片も出ないよ!」 きのぴーの分からず屋!

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