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3-蜂蜜たっぷり生姜湯(2)

おはようございます! 俺はいつも通り浮き浮きしながら出社した。 ただの出社に毎日毎日何を浮かれてるんだって思う? お察しのとおり、会社に行けば城崎さんに会えるからだよ。ふふ。 長時間掛けて作った資料のデータをうっかり消してしまっても! お客さんからヘビーな資料作成を依頼されても! 会議室へコーヒー二十杯出すように頼まれても! 今朝はタイミング悪かったみたいで逃しちゃったけど、朝と夕には城崎さんの可憐な姿を見れると思えば、折れた心もすぐ復活する。 資料の作り直し? はい喜んで! 検証環境が落ちたからデータセンター行ってマシン見てこい? 任せてください! テスト印刷したからついでに運用部から貰ってこい? ちなみに無理言って急がせたから担当の人怒ってるかも? 笑顔で切り抜けます! 「あ? 出かけんの?」 「はい! お帰りなさい宗さん!」 データセンターと運用部へ出かけるべく廊下に出たところ、外から戻ってきた先輩に出くわした。 鍋パの日に助けてくれた人だよ。高山宗さん。この人は俺と同じタイミングで法人事業部に異動してきた。なので、最初の部の説明とかを一緒に受けて顔見知りになった。 そうなんだ。法人事業部には高山さんが二人いるんだ。俺と一緒に仕事してる高山宗吾さんと、異動してきた高山宗さん。宗吾さんがすでに高山さんとして定着しちゃっているので、自然と後から来た高山宗さんは『宗さん』と呼ばれることになったらしいよ。 「ちょっと待て白田。どこに何しに行くんだ」 「データセンターにサーバ確認しに行って、運用部から帳票貰ってきます!」 では! って出かけようとしたら、宗さんに首根っこ掴まれた。 「また雑用してんのか。お前さあ、新人じゃないだろ? キャリアあんだろ? そんなお使いもっと若い奴にやらせろよ」 「でも、俺まだ社内の様子に疎いですし、こういうので横のつながり作るのもいいかなって思って」 「そんなの、他にもっと効率のいい方法あるだろが。お使いは新人にやらせろ」 「でもぉ……」 俺が困り顔を作ると、宗さんは手を離してため息をついた。何か呟く。 「…………(あぁもう、可愛いかよ)、お前、見た目が見た目だから、なめられてんだよ。今はいいけど、馴染んできたら考えろよ」 「はい。心配してくださってありがとうございます」 「あー、俺のことは気にすんな」 宗さんは背中を向けて軽く手を振り、事務室に入っていった。いい人だよね。 今後どうするかは後で考えるとして。さ、今日は頑張るよ!

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