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3-蜂蜜たっぷり生姜湯(12)
さて、一泣きしてお腹も満たして、ちょっと寝たら、症状がクライマックスに突入した。
ああぁぁぁぁぁー、暑いっ。
夢か現か分からないけど、暑い。骨が発熱してるみたいに、体の中から熱い。
ま、ね。実際発熱してるんだけども。
朦朧としながら俺はパジャマの袖で額の汗を拭った。
「暑いの……田? ……いてるな、着……ようか」
城崎さんの声が頭の中で反響してよく聞き取れない。
暑いんですー。もう体の中から干上がりそうなくらい暑いんですー。
しばらくして、城崎さんが俺の上半身を起こしてベッドの上に座らせた。
なに? なにするんですか?
城崎さんにされるがままになっていると、ひんやりして気持ちの良い何かが、額や首筋を撫でた。
あ、なにこれ。ちょっとすっきりする。濡れタオルかな。
……? 何ですか?
目の前の城崎さんが、俺の顔見てる。
「大人しくしてろよ」
今度はちゃんと聞き取れた。
俺は素直に頷くと、なんとなく目を閉じた。
なぜか少し間をおいて、ひんやりするものが汗ばんだ胸とお腹を清めていく。
続いて肩、背中と冷やして……あれ?
いや、気持ちいいんだけどさ。
胸とお腹、つまり体の前面が優しくほんのり温かい。
「腕を伸ばしてくれ」
耳のすぐ近くで城崎さんの声がした。
「? はい」
は! 分かっちゃった。
どうしよう。これは目を開けられない。
「着替え、適当に目についたの持ってきたんだけど、これで良かったか?」
「はい、いや、あの、その、はい。もちろん大丈夫です」
着替えを持ってきてくれた。
ということは、今俺パジャマ脱がされてる。腕伸ばしたのは袖が引っかかって脱がしにくかったんだろう。
そして、お腹とかが温かいこと。
考えるまでもなく、今なら分かる。
俺、上半身脱がされた状態で城崎さんに真正面から抱きしめられてる。
状況伝わった? もう一回言おうか?
半裸で城崎さんに抱きしめられてる。
ああごめん、これ以上は言えないや。
俺、鼻血でちゃう。
「えっ、なんで鼻血!? 着替えはまだ駄目だったか!? すまない白田。ほら、ティッシュ。……あぁ、いい、いい、僕が押さえておくから。ちょっとじっとしてれば止まるだろ。ごめんな」
あわ、あわわ。本当に鼻血出ちゃった。
どうしよ、え、あ、すみません城崎さん。
鼻血が出たのは城崎さんのせいじゃなくて、不健全な妄想をした俺が悪いんです。
ああ、でも妄想したのは城崎さんの看病が行き届き過ぎてたからなんですけど。
だってそんな、俺のベッドに上がってきてパジャマ脱がした上に、俺を抱きしめて背中の汗を拭いてくれるなんて。そんな健気エロい城崎さんなんて。
ああ、思い出したらまた鼻血出ちゃった。
「ちょ、ちょっと白田、まだ止まらないのか? 鼻血が出やすい体質とかなのか? 本当にごめんな」
城崎さん、大好きです。鼻血がでるほど好きなんです。
これでもやっぱり駄目なんでしょうか。
俺は城崎さんのことを諦められないんです。
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