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5-ばかしあい(4)
だいにしゅー。
また巡ってきた金曜日に、遊馬さんに予定を聞いてみた。
――明日、予定空いてますか?
『買い物に出かけるから空いてない』
――何買うんですか?
『姉の誕生日プレゼント』
――お姉さんいるんですね! 年はいくつ離れてるんですか?
『二つだ』
――ふむふむ。わりと近いんですね。で、何プレゼントするんですか?
『まだ考えてない。出かけた先で見ながら決めるつもりだ』
――じゃあ、俺も何かプレゼント案考えてみますね!
『え? いや、僕一人で買いに行くから大丈夫だ』
――一人より二人の方がいい考えが浮かびますよ! 荷物持ちもします!
『なんで会ったこともないうちの姉にプレゼント買おうとしてるんだ。あとしろたに荷物持ちはさせない』
!!!!!
『しろたに荷物持ちはさせない』って!
衝撃で二、三回読み返した。結構なキラーワードだよこれ。もう、愛してるって言ってるようなものじゃない?
言ってるよね?
俺、愛してるって言われてるよね?
――俺も、愛してます。
しばらく間があって、返ってきた。
『すまない。何の話か分からないんだが』
もー! 遊馬さんってば!
自分で言い出したのに照れちゃったんですか?
もう。知らんぷりなんてしちゃって。よけいに胸がきゅんとするんですけど。
――細かい話はまた後でしましょう。
『あ、ああ』
一旦、お喋りを終わりにした。
スマホに充電ケーブルさして、俺はベッドに寝転んだ。
分かってるよ? 人が良い遊馬さんの優しさに甘えっぱなしなこと。
相変わらず、遊馬さんから『しろたが好き』っていう言葉は引き出せてない。
週末のごっこ遊びに付き合ってくれている真意は分からないままだ。そりゃ、遊馬さんの何気ない一言に一喜一憂もするよ。
決して嫌われてはいないのは分かるんだ。
でも、『普通』なのか『好き』なのか。その差は大きいよね。
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