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5-ばかしあい(5)
よぉし! 明日は遊馬さんに会うし、シャワー浴びて寝よ。
遊馬さんは天使の輪を気に入ってくれたのかどうなのか、まだ分かんないけど、しっかりヘアケアして、ぴかぴかの髪にしよ。
あ、そうそう、重めのトリートメントして髪をしっとりさせたら、多少アホ毛も落ち着いて、天使の輪も大人しくなるんじゃないかって思うじゃん? だめなんだ。多少マットになったり、テクスチャは変えられるけど、フォルムは変えられないんだ。ツヤなし、ツヤあり、めっちゃツヤありくらいしか選択肢がないの。
もう諦めたよね。天使の輪いらないときは、俺のいうこと聞くまでハードワックス。緊縛プレイ。
今日もワックス使ったから、髪をしっかり洗わなきゃ。
シャンプー泡立てて、わしゃわしゃっとね。
……あー。
ちょっと思いついたな。
遊馬さんのお姉さんへのプレゼント。
お風呂上がりでも履けるもこもこスリッパとか、可愛いルームウェアとか良いよね。
どんなのが似合う人なんだろ。
遊馬さんのお姉さんってことは、やっぱり多少なりとも遊馬さんと似てるよね。きっと。
そしたら、可愛いのよりは大人っぽいのがいいかな。バスローブとかさ。
紺がいいなぁ。シックな雰囲気。しっとりした色気もあってさ。
お姉さんには会ったことないから遊馬さんでイメージしてみよ……。うんうん、色白なすべすべお肌をひきたててくれて、似合うと思うんだ。
決めた。遊馬さんにバスローブ提案しよ。
それで、髪を洗い終わって、体洗ってる時、つい思い出しちゃった。
食堂での一コマ。薄紅の唇についたソースを、ぺろっと舐め取る赤い舌先。
和室での一コマ。盗み見た、二つの小さなほくろ。
寝室での一コマ。こっそり重ねた、熱に浮かされた蠱惑的な唇。
うぅ。
実は俺、かなり溜まってるんだ。
遊馬さんに出会ってから、一人でしたのはあの接待の日の一回きりだ。いや、もちろん他人とはしてないよ。もう遊馬さん以外は考えられないから。
でも遊馬さんがあんまり高潔なイメージだからさ、オカズにするのは躊躇われるんだ。
分かってる。例えば今朝、遊馬さんが海外事業本部の本部長と四階の会議室で密かに何やってたか、分かってる。
でもね、それも分かった上で、遊馬さんを軽々しくオカズになんて、俺にはできないんだよ。
軽々しくはできないんだけど、ね。どうしようか。ね。こう見えても俺、成人男子なんだよね。やることはやるんだよ。
……だっ、だめです遊馬さん! そんな悪戯っぽい笑顔でバスローブ脱いじゃだめですっ!
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