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5-ばかしあい(17)
「……以上で、ございます」
高山さんと宗さんがイヤホンを外したので、俺は赤面して頭を下げた。
「嘘だろ?」
「白百合さんて、こんなに優しい声出るの? さっき俺ら咎められた時、ブリザード吹いてたよ!?」
「っ」
俺が口を開いた刹那、灰谷がスマホで何かするのが見えた。
「遊馬さんは、綺麗で、優しくて、照れ屋さんで、可愛いんです!!」
気がついたら、周囲は静まり返ってた。
「しっかり録音したからね、しろやんっ」
灰谷は楽しそうだ。
周りがそろそろとざわつき始めた。
「『遊馬さん』って、あの美人の……」
「照れ屋さんって……」
「法人の部長の……ほら、よく枕してるって話の……」
「可愛いって……」
あばばばば。
「しろやんの想いはちゃんときのぴーに伝えるからね! あ、その前に噂話で届いちゃうかな?」
あばばばば。
灰谷ー! これ、絶対、遊馬さん、真っ赤になって怒るやつじゃん! こんな感じで!
『しろたは少し人目を気にしろ! 食堂で法人の枕部長に、き、求愛したやつがいる、って、あちこちで話題になってるぞ! 恥じろ!』
あ、怒りながらもちょっと照れてるね。
遊馬さん、照れ屋さんだから……すぐ耳とほっぺ赤くなっちゃうんだよなぁ。可愛いの。
怒ってても可愛いって……罪じゃない?
そうか。この際だから、他の人たちにも、遊馬さんの可愛らしさを分かってもらった方がいいよね。そしたらみんな、お似合いだよって言ってくれるよね!
「ねえ、皆ちょっと待ってて! 俺、今、急いで遊馬さん連れてくるからっ!!」
うん。行進曲が聞こえるよ!
ぱぱぱぱーん! ぱぱぱぱーん! ぱぱぱぱっぱぱぱぱっ「それだけはやめろ!」
俺の案は、灰谷と高山さんたちによって完全に阻止された。なんでだよぉ。
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