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6-愛してほしいの(12)
「ぁ……うっ、しろた、ちょっと……ま、て」
キスをしながら、思い切り抱きしめた。
抱きながら時々、耳とか乳首とか触ってみると、遊馬さんがちょっと溶ける。
俺のはまだ遊馬さんのお腹に押し付けたまま。だって、遊馬さんのお腹でごりごりするの、気持ちいいんだもん。遊馬さん、たおやかな見た目によらずお腹固いの。
「……ん……ぅ……、しろ、た、分かったから。分かったから、先にシャワーを浴びさせてくれ」
「離れたくないです」
ぎゅっと遊馬さんにしがみついて駄々をこねてみた。意味はない。もちろん本当は早くシャワー浴びて、本格的にいちゃつきたい。
でも離れたくない。
「すぐ戻るから。な? シャワー無しではその……良くないぞ。汗もかいてるし」
何これ、こんな葛藤がこの世にあるなんて知らなかった。
遊馬さんから一瞬たりとも離れたくない。それで早くえっちしたい。でも、遊馬さんの言うとおりで、えっち前にシャワーは浴びるべきだ。でもやっぱり俺は遊馬さんから離れたくない。
どうしたらいい? どうしたら俺満足できる?
「は! 遊馬さん、一緒にシャワー浴びましょ「だめだ」」
断固とした口調でだめって言われた……。
「ぇ、おいしろた、そんなにしょげないでくれ。シャワーを浴びるのと、その……準備も、したいんだ。だからさすがに一緒に入るのは、ちょっと、避けたい、んだ……ごめんな」
うん、そうだよね。遊馬さんは遊馬さんで、やること、あるんだよね。
「分かりました。ここで待ってます」
俺は遊馬さんから離れて、ソファの上で正座した。
「分かってくれて、ありがとう、しろた。すぐ戻るから、な?」
遊馬さんは俺の額にキスをして、廊下へ消えてった。
あーもう、俺は何がしたいんだ。遊馬さんを困らせて、どうしたいんだ。おかしいぞ俺。童貞じゃあるまいし、何をやってるんだ。
体温の上がった遊馬さんと一緒にいると、思考がおかしくなる。本能が理性より優先されるんだ。
遊馬さんの匂いが、温もりが、その声が、俺の脳を侵食する。いや、侵食なんて言葉はふさわしくない。だって俺の脳を染め変えていくそれは、俺が欲しかったものなんだから。
それは今後俺を完全に変えてしまうのか、それとも俺と共存するのか、分からないけど、遊馬さんの良いようになると、いい。
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