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6-愛してほしいの(13)
遊馬さんが戻ってきて、交代して俺もシャワーを浴びた。
手早く洗って時間を惜しむように浴室を出た。
脱衣かごのところに、遊馬さんが着替えを置いといてくれたみたいだ。
白いシャツと、淡色のふわふわショートパンツ……。ちょっと、可愛くない? これ本当に遊馬さんの?
とりあえずシャツは俺にはオーバーサイズだ。
ショートパンツは大丈夫そう。
もしかして遊馬さんショタコンの気味が……、いや、考えすぎだ。大人だってショートパンツ履くだろ。それに、万が一俺の考えている通りだとしても、別に問題はないじゃないか。むしろ、それを狙ってただろう? 灰谷の家で鍋やった時も、思いっきりぶりっ子したじゃないか。
よし、服着て遊馬さんのところに早く戻ろう。遊馬さんが待って……!?
「遊馬さん!」
服を握りしめた俺はリビングに駆け込んだ。
あ、あれ? 遊馬さんは?
「しろた、こっちだ。……なんでシャツを着てくれないんだ?」
廊下を振り返ると遊馬さんが寝室の前に立っていた。
「遊馬さっ……だって、これっ……!」
「しろたにぴったりだと思うんだ。な? そう思わないか?」
「いや、……でもっ……!」
「試しに、一回着てみてほしい……嫌か?」
あぁぁぁぁ遊馬さん! 遊馬さんが!
そんな顔でおねだりされたら、断れるわけないじゃないですか!
着ます! もちろん着ます!
俺はその場で遊馬さんに背を向けて、持っていたシャツを被って着た。
袖? もちろん萌え袖するよ。
裾? もちろんそのままだよ。インしないよ。
せっかくのショートパンツを隠しちゃって、ちょっと、下に何も着てないみたいに見えるけど無視。
うぅ。本当に? 遊馬さん本当にこれでいいの? これ可愛い? 俺、期待に応えられてますか?
もじもじちらっと振り返ったら、遊馬さんがキラキラしてた。
「おいで、しろた」
両手広げて笑顔でそんなこと言われたら、そりゃもちろん遊馬さんのところに駆け寄りますよね。
俺を抱き止めた遊馬さんは、髪を撫でてくれて、それで。
「しろたはやっぱり白が似合う。天使みたいだ」
「本当に? 本当に似合ってますか?」
「もちろん」
俺が着たシャツの背中には、もこもこふわふわした素材でできた一対の白い翼のモチーフが配されていて、お馴染み俺のアホ毛と合わせると、まさに天使。中身が欲望まみれで天使にはほど遠いのが申し訳ない。
「あの、な? ……これ着て……シたいんだ」
耳元でそう囁かれて、それで、遊馬さんに抱き上げられて寝室に入った。
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