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6-愛してほしいの(14)
寝室は間接照明だけ点いていて、落ち着く空間になっていた。
ベッドにそっと下ろしてもらった俺はすぐに膝立ちになって、遊馬さんを抱きしめて、キスをした。
キスをしながら後ろに倒れて、遊馬さんもベッドに呼ぶ。
ベッドに二人、重なって倒れて、しばらくそのまま静かにしていた。遊馬さんの指先だけが動いていて、俺の頬を撫でている。
寝室の空気は、さっきまでいたリビングとは別世界のようだ。
雨上がりの林に迷いこんだような、澄んだ木の香り。密かに何か花も咲いている。
「気持ちのいい匂い、しますね」
「気に入ってくれたのか?」
「はい」
「よかった」
遊馬さんは微笑んで、俺の目を見つめた。
「えっと、身も蓋もないこと言います」
「ん、なんだ?」
「甘い花の匂いもして、それがちょっとえっちな気分になります」
「ふふ。実は、それを狙った組み合わせだ」
柔らかな闇と香りに包まれて、二人くすくす笑いながらベッドの上で絡み合った。
遊馬さんの服装は、ボタンダウンのシャツに、ゆったりしたパンツ。半ばパジャマだ。
喉元までボタンをしめているのが、禁欲的な雰囲気を出していてかえってエロい。いや、もはや何を着ていてもエロく感じる可能性も高いけど。
「ねぇ遊馬さん、脱いでください」
遊馬さんを促して起き上がる。
「え」
「遊馬さんが、自分で脱ぐとこ、見たいです」
「脱ぐとこ」
「ボタンはずして、脱いでください」
「ボタン」
どうしよう。早くも遊馬さんが壊れちゃった。俺を見つめて単語を繰り返すだけで、喋れなくなっちゃった。
「遊馬さん」
「うん」
もしかして、核心に迫ってきて、恥ずかしくなってきちゃったの?
暗いから、赤いのかどうか顔色まで見えないんだよね。
「じゃあ、上から四つ。四つボタンはずしてください」
「四つ」
おぉ。やっと手が上がって、喉元のボタンに触れた。頑張れ遊馬さん!
あ。応援しようと思って遊馬さんの腰に手を添えたら、めっちゃぷるぷるしてた。
ふと気づいちゃったんだけど、部屋を間接照明で暗くしてるのは、きっと雰囲気作りのためじゃなくて、ただ単に明るいところで俺に見られるのが恥ずかしいから、だな。
「遊馬さん、恥ずかしい? ……俺、お手伝いします」
遊馬さんの後ろに行って、手を添えるように寄り添った。
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