好き、好き、好き……。 独りよがりになりかけていた俺は、遊馬さんへの想いの束縛から一瞬逃れて、顔を上げた。 「しろ、しろたッ、馬鹿、お前、なに、」 「……遊馬さん？」 奥を突く度に生まれる快楽に、遊馬さんが溺れそうになっている。 声をかけ、遊馬さんが俺を認識した瞬間、狭いソコは、ぎゅっ、と俺にすがりついた。 「っんぅ、そんなに締められたら、俺、我慢できないです！　ていうか千切れる！　遊馬さん、お願い千切らないで！」 「ぅん、は、ぁっ……うるさい、騒ぐな、バカッ！　しろたがやったんだぞ！」 俺を絞り上げるように、遊馬さんの中が引き攣れる。 無理だよこんなの！　気持ちよすぎるよこんなの！　早漏じゃないってさっき弁解したばっかりだけど、裏切りそうだよ早くも！ 「むっ、むり……っ！　いくらなんでもこれはむりです遊馬さん……っ！」 ちょっと動くの止める？　クールダウンする？　……いやいやそんなの遊馬さんを待たせるだけじゃん！ 「あの、ごめんなさい遊馬さん！　いったんイキますっ！！」 「ぃ、い、い”っ！！　今、は、ぃゃだ、奥は、やめぇっ……！」 遊馬さんが悲鳴を上げてたけど、余裕のなくなった俺は、構わず抽挿を強行した。 肌がぶつかる軽い音が、水音と一緒に部屋を満たす。その上を遊馬さんの喘ぎ声が越えていく。 「……ッ！」 遊馬さんの体がこわばり、つま先がきゅっと丸まる。どうやら遊馬さんが一足先にナカイキした。その余韻の中、続いて俺も、震えるような快感を味わった。 遊馬さんは荒い息を吐きながら、ひくりひくりと脚を引きつらせている。 俺も息が上がるのを堪えながらそれを撫でて、膝の内側に唇を触れた。 「しろた」 焦点が合っていないらしい目の遊馬さんが俺の顎を捕まえた。汗かいてくれてる。 「気持ちよかったですね」 俺はちょっとはにかんだ笑顔を遊馬さんに向けた。 「そうだな。……いや違う、そういうことじゃない」 遊馬さんはまだ少し胸を上下させながらも、真顔をしてる。 本当に美人さんだよねぇ。今、笑顔じゃないんだよ？　真顔、なんなら、無、だよ？ なのにこんなに美人さん。俺の大事な恋人は、美人さん。 「何を一人で納得してるんだ。僕はまだ何も言ってない」 「ええー？　言わなくても見れば分かりますよ。遊馬さん綺麗だもん」 俺の顎を挟んだ指に力がこもる。 「意味が分からない。まあいい。それはさておいて、だ」 「はい」 「僕は言ったよな？　今はいやだ、と」 わ、冷静に言われると生々しくて恥ずかしい。そういえば遊馬さんそんなこと言ってたね。イく前に。 「言ってましたね」 「聞いてたんだな。ではなぜ、言われたにもかかわらず続行した」 「場を盛り上げる方便だと解釈しました」 俺は背筋を伸ばして、まっすぐ遊馬さんを見て答えた。 あ、そうだゴム替えよ。いっぱいだ。どんだけ溜めてたんだよ俺。やだもう、恥ずかし。 「方便だと!?　僕のあの声を聞いて、あの状態を見て、よくそんな事が言えるな。恥を忍んで言うが、あの時僕は既にイってた」 「ですよねっ、へへ」 「何を照れてるんだ。おい、僕の話を聞け、ゴムを替えるな！　まだやるつもりか！！」 「にかいせんです！」 しゃきーん！ 「ポーズを決めるな、可愛子ぶるな！　可愛ければ僕が何でも許すと思ったら大間違いだぞ！」 「わーい、にかいめ！」 「使用済みのコンドームを投げるなあッ！」 こんな俺だけど。 愛してます、遊馬さん。心から。