97 / 120

7-荒波に揉まれるおしりとか(1)

おはようございますっ。みんな、おはよー! 今ね、朝五時だよ。 リビングのカーテンを開け放つと、雲のない空が白々と明るくなってきていて、気持ちの良い一日を予感させるよ。 もちろんここは遊馬さんの家。 遊馬さんとの仲をいっそう深めて、一夜たったところ。 寝室ではまだ遊馬さんがぐっすり眠ってる。 初めて見る遊馬さんの寝顔は、とても悪戯心をそそるお顔。ちょっと不満げに唇を尖らせて拗ねちゃってる。あああ、唇にちゅ、ってキスしたい。ちょっとだけ狭くなった眉の間を指でマッサージしてあげたい。 そうなんです。俺の大事な遊馬さんはちょっとご不満なのです。 というのも、遊馬さんはまだヤり足りないからってのが理由のひとつ。 昨日の最終ラウンド、遊馬さんは中途半端なイきかたをしてしまって、イったようなイってないような、強いて言うならイった、かなあ、みたいな状態になってた。でも時計を見たらいい時間だったから、俺は遊馬さんを無理やり抱きしめて、そのまま寝てもらった。 寝る前。 「しっ、しろた。その、ええと、まだ起きていてもいいんじゃないか」 余韻に目を潤ませて、もどかしそうに遊馬さんがねだる。 「だめですよぉ、遊馬さん。ほら、もうこんな時間」 「でも、あと一回くらいなら……」 「あと一回? あと一回何するんですか?」 「う、その、今したじゃないか」 「今? あ、もっとぎゅってしてほしいんですね! 任せてください、俺の腕ちょっと短いけど、遊馬さんの頼みとあらば……むぎゅ」 遊馬さんを背中から頑張って抱きしめたら怒られた。 「しろたッ、僕から見えないところで可愛い真似をするんじゃない! 僕の前で『むぎゅ』ってしろ!」 ふふ。可愛いって言われちゃった。 「じゃあ遊馬さん、こっち向いてください」 遊馬さんに向きを変えてもらって。 「よいしょ。……むぎゅ」 遊馬さんへの想いがあふれだしちゃって、俺はゆるっゆるに弛んだ笑顔で遊馬さんに抱きついた。 「あすまさん、だいすき」 ぐりぐりぐりって、遊馬さんの胸にほっぺ押しつけて。 「今日は遊馬さんと一緒に寝られるの。俺嬉しいんです」 「はぅっ」 何かダメージを受けた遊馬さんが、俺から顔を背けて上を向いて、何か言ってる。 「………………(一緒に寝られるのが嬉しいって)…………(健気すぎやしないか)………………(それに比べて僕は何だ)………………(もう一回だなんて)! ……(恥を知れ)!」 「遊馬さん、なに?」 聞き取れなくて訊いたけど、遊馬さんは顔を赤くするだけで教えてくれなかった。

ともだちにシェアしよう!