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8-往きはよいよい帰りはこわい(3)

キスをしながら、ゆっくり、一枚ずつ衣服を脱がせ合う。 一番どきどきするところ。 するん、と遊馬さんがシャツから腕を抜いた。 ぱさ、と遊馬さんが俺のパンツを床に落とす。 あれ、恥ずかしい。パンツなくなっちゃったの恥ずかしい。おかしいな、そんなので今さら恥ずかしくなるわけないのに。 遊馬さんのパンツを脱がす。あ、どうしよう、これ履いちゃおうか。そんな馬鹿なことを考えていたら、遊馬さんが俺の手からそれを取り上げて、遠くに投げた。あれ、もしかして、遊馬さんのパンツをウサギのしっぽにしたの、まだ根にもってます? 遊馬さんとの合作ってことでしっぽを遊馬さんのパンツにしたんですけど。天使の羽つけたの遊馬さんだし。パンツの色も薄い青で、ショートパンツと一緒でちょうど良かったの、最高な偶然だって思ってるんですけど。 ああ、でも、遊馬さんに怒られた後、ふたりでああでもないこうでもないって、試行錯誤しながらモザイクかけたの楽しかったですね。反転したー! とか、巨大化したー! とかわちゃわちゃして、俺はあれが一番楽しかったです。楽しくて、遊馬さんにキスばっかりしてた。遊馬さんは真面目にやれって言ったけど、あれ、真面目に向き合えば向き合うほど、遊馬さんが愛しくてしょうがなかったんです。だって、遊馬さんのパンツのために、大の大人が二人、大事な休日の午後をついやしてるんですよ。 あぁ、脱ぐものも脱がすものもなくなっちゃいましたね。ってことは、次は……。 俺よりも先に遊馬さんが動いて、俺の喉仏を甘噛みした。ぺろって舐めて、かぷって食いつく。 あ、だめ、だめ、俺そこ噛まれるの大好きなんです。今日はゆっくりやろうって言ってたのに、我慢できなくなっちゃう。立てた歯が喉の薄い皮膚の上を滑るの、ぞくぞくするから。 ……なんで、なんで何回もかぷかぷするの遊馬さん。 俺、もう勃っちゃったじゃないですか。 ふたり寄り添った中心においた性器が、俺ばっかり自己主張してる。 遊馬さんが俺の喉をまた舐めて、くすくす笑った。 「ふふ、すまないしろた。煽ってしまって。せっかくの提案だったけれど、やっぱり欲張りな僕に、ゆっくりはできないみたいだ」 キス。 「このままだと後で僕はまた馬鹿になってしまうけど、今はしろたを気持ちよくさせたくてしょうがないんだ」 なに!? 遊馬さん何してるの!? 俺の下半身に甘い甘い刺激が押し寄せてくる。 ふにっと柔らかくて、ぬるぬるしてて、熱くて、そんな感じのなんか気持ちいいヤツ。 ごめん語彙力なくて。今ちょっと脳みそピンク色なんだ。 「あす、ま、さん」 「どうした?」 「おれ、むり」 遊馬さんが何をしてるのかというと、仰向けに横たわった俺にまたがって、その、ええと、玉で俺の息子を挟むようにしてすりすり上下に刺激してる。いつのまにかローションが垂らされてて、ふにふにぬるぬるがそれはもう気持ちいい。 しかも、俺がもともと下の毛が薄いのと、遊馬さんは多分脱毛してるので、そのふにふにを妨げるものはない。あ。上下動するふにふにさんに、仲間が増えた。固くて熱くてぬるつくやつ。 だめ、だめです遊馬さん。その固いやつ、だめ。遊馬さんも興奮してるんだって分かっちゃうから。遊馬さんが、俺で、興奮してる、だなんてもう最高じゃないですか。

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