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8-往きはよいよい帰りはこわい(5)

「遊馬さん、代わりますね」 さすがに疲れてきたのか、動作がゆっくりになってきた遊馬さんに声をかけた。 「ん。ぅ、え?」 遊馬さんが戸惑ってるけど強行する。俺の上に乗っていた遊馬さんごと体をひっくり返して、下向き……つまりは正常位になった。 遊馬さんが目を丸くして俺を見上げてる。 「しぉ、た?」 だめですよ、そのチワワのまんまるおめめでぱちくりするヤツやっちゃ。それは俺の専売特許なんですから。それに、遊馬さんがやると、は、破壊力がマシマシになるじゃないですか。 なにそれ、チワワってそんなに神々しく美しくなれるの? どうしよう、今正常位だけど遊馬さんにひれ伏したい。その綺麗なおみ足とか、その、ちょっとでいいので、つま先でいいので、キスさせてもらえないですか。崇拝させてもらえませんか。 「……しろた?」 あ、しまった。遊馬さんに見惚れすぎてぽーっとしてたから、遊馬さんが正気を取り戻してきちゃった。遊馬さんには理性を吹っ飛ばしておいてもらわなきゃいけないのに。 さっさと始めるよ! 「遊馬さん、覚悟してくださいね? 最高に気持ちよくなってもらいますから。ね?」 言うなり、俺は腰をぶちこんだ。 「ぁ、ん」 理知的で聡明な、普段の遊馬さんはもちろん大好きだ。かっこいい。 でも、俺の下であられもない姿で、本能に任せて喘ぎ、身をよじる遊馬さんも好きなんだ。 どっちも刺激に溢れてて、どっちも俺を強く揺さぶってくれる。 好きなんだ。遊馬さんの本質が。どうしようもなく。年を経て遊馬さんの表面が変わったとしても、やっぱり好きなんだろう。 「んぅ、んんんッ、しろ、たっ、やだッ」 快楽にとろっと溶けかけた、でも微かに知性を宿した目で、遊馬さんが抗う。 え、何? 『やだ』って、遊馬さん、えっち止めたいの? 俺はもう勢いつけて気持ちよくなっちゃってるから、できれば止めたくないなー、なんて思うんですが。 「やっ、ぁん、やだっ、足開くの、やっ」 遊馬さんの顔が赤くなりつつある。まずい。正気にかえって、恥ずかしくなってきちゃったんだ。 やだ、やだ、と言いながら、遊馬さんは脚を閉じて絡めて、俺を抱え込む。 遊馬さん!? 俺の腰動けなくしちゃったら、遊馬さんも俺も気持ちよくなれないですよ?

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