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第26話

「でも、そういうのは良くないって言われてちゃんとルールどおりに」 「あったりまえだから」  ナツキはよく光る大きな目を吊り上げた。 「その人だって料金体系分かっててショウちゃんと会ってるんだから気にする必要ないし、そもそも出来高制なんだからさ、太客から搾り取れ」  彰人とのデートは指名も予約も別料金となり、土曜日の夜から日曜日の朝までなので宿泊料金も追加となることから、かなりの割高だった。つまりそのことは、ショウの収入の大幅アップを意味していた。  ショウはデザイン系の専門学校で勉強したいという希望を持っており、入学金や学費、機材その他にかかる費用一切を稼ぐためにこのアルバイトをしている。ナツキからしてみれば、目標を達成するまで妙な遠慮などをしている場合ではないだろう、ということだった。  ナツキの言葉は率直で時に辛辣でもあったが、それもこれも自分を応援してくれているからこその苦言であり助言であると、いつもショウはありがたく受け止めていた。 「いま描いている絵、見せて」 「まだ途中だよ」  ナツキは布団から一旦降り、床に置かれたスケッチブックを拾い上げた。再び布団の上に戻って今まさに描いている途中の絵を矯めつ眇めつする。

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