28 / 60
第28話
そして、少しの間を置いて、ナツキは口を開いた。
「わかった、少し整理しよう。いやなことを言うようだけど聞いて。あのさ、二通り考えられる」
ショウの目の前に、手をチョキの形にして指が二本差し出された。
「お客様との恋愛が、マジの場合とフェイクの場合だ。二つ目は分かりやすい。お前を拘束できる六時間だけはマジかも知れないけど、残りの時間にはお前の居る場所はないって奴。で、一つ目だった場合」
ショウは唇を噛みしめた。
ナツキの言おうとしていることが分かった。
ナツキは手を伸ばしてショウの頭を撫でる。
「好きな相手がデリホスやってて、仕事とはいえ自分以外の人に身体触らせたり、オプションでキスとかフェラとかしちゃったり、そういうのを許容できる恋愛ってあり得るかって話」
長い前髪の隙間から労るような眼差しをくれて、にいっと笑う。
「目を覚ましな。好きは止められないからそれはしょうがない。でも好きなら尚のこと、その時間だけの恋人でいいじゃん。それともバイトやめるか?」
ともだちにシェアしよう!