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第48話

「ん……ふ」  宥めるようなキスに夢中になっている間に彰人は自分のシャツを脱いでそっと床に放った。  息を整える間もなくショウは抱きしめられ、耳に歯を立てられた。耳殻を舐められ為すすべなく喘ぎ、濡れた口元を手の甲で拭った。 「こんなときになんだけど」 「はい」 「どこまで大丈夫なんだっけ」  オプションの話だ。  ショウの髪に、側頭部に、こめかみに、彰人は音を立ててキスをしながら、手は気に入ったらしい腰から背骨のくぼみを執拗に触っていた。触られているそこが過敏になっていて、おかしな声を上げてしまわないようにショウは細心の注意を払っていた。 「よ、ゆうですね、彰人さん」 「余裕なんてないから確認してる感じです」  熱に浮かされたみたいなその言い方がおかしくて、ショウは笑いながら自分も彰人の身体に触れて細い腰の辺りを撫で回した。さっきリビングで猛っていた中心をもう一度確認したくて、スウェットのウエストに手を差し入れるタイミングを図っていた。 「挿れるのはNGです。それ以外は、だいたい大丈夫」 「だいたい、っていうのは」 「だいたいです」  笑みを浮かべたショウの瞳が淫らな光を帯び、見とれた彰人は彼の身体をベッドに横たえた。 「だめなことしたら、言って」  真面目な人だなと思い、なんでも許してしまいそうな自分を窘めつつ、ショウは手を伸ばして彰人の頬に触れた。 「分かりました」  請け負うショウに念を押すように、彰人の唇が押し当てられる。窓からの明かりで青く沈む部屋で、二人の身体は静かに折り重なっていった。

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