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第55話
「経理とかそういうの?」
「経理じゃあないけど、お金の管理みたいなことはしてる。説明が難しいな。正確に言うとドン引きされるし、ざっくり説明できないし、あ、でもちゃんと働いてるよ」
「忙しそうですもんね」
いつだったか、食事はほとんど朝しかしていないと言っていた。残業も出張も多いとも言っていた。
「身体に気をつけてくださいね」
そう告げると、彰人は首を傾けてショウの額に音を立ててキスをした。
「もう一度キスしてもいい?」
直截的に言われるとやはりどぎまぎする。我知らずショウは頬を染め、湧き上がる感情そのままに「はい」と微笑みかけた。
目を閉じて唇を重ねるだけの行為がどうしてこんなに幸せなのだろう。
部屋の中は白々と明るくなっていき、逢瀬の終わりの時刻が近付いていることを知らせていた。
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